2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 130
我々は,いつでもどこでも計測が可能なウェアラブル脳波計の開発を行っている.これを利用することで,病院や研究室以外での脳波計測が容易となってきている.これにより,脳波を使った応用の範囲が広がっている.我々は,無意識や言語化が困難な情報を可視化することで初めて実現できるシステムの開発を目指した研究を行っている.例えば,音の違いに反応する事象関連電位であるミスマッチ陰性電位を利用したニューロフィードバックトレーニングにより,日本人が聞き分けることが苦手な「right」と「light」の違いが認識できるようになることを明らかにした.また,英語を聞いている時の脳波を計測し,N400に相当する事象関連電位を抽出することで,その人の英語の能力の推定が可能であることも明らかにした.さらに,テレビゲームを行っているときの脳波を計測し,エラーをしたときに発生する事象関連電位であるエラー関連陰性電位を抽出することで,ゲームへの没入度の推定ができる可能性が示唆された.このように,脳波を利用することで無意識および言語化が困難な情報を取り出すことができる可能性が示唆された.