2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 135
超高齢社会を迎えた日本では,高齢者の生活の質(QOL)の維持と向上が重要な課題の一つである.特に,歩行中の転倒は重大な怪我を引き起こし寝たきりの状態に陥る危険性が高く,転倒の要因の解明と予防が急務である.本発表では,多数の高齢者の歩行の計測結果を基に,歩行タイプや転倒の危険性について分析を行う.そして,Tinetti歩行評価や転倒予防自己力感尺度,転倒リスクといった他の評価手法との関連について議論する.また,施設に設置して歩行状態のチェックや改善に用いることができる歩行訓練補助システムについても紹介する.歩行の状態を改善するためには,自らの歩行状態を正しく把握することが重要である.また,個々に異なる歩行特徴や転倒リスクに合わせてトレーニングを行うことも必要となる.今回の発表では,第一段階のプロトタイプを高齢者に実際に試用して頂いた結果を紹介する.