生体医工学
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重度肢体不自由児とその家族の抱えるバリア(困難さ)をどの様に解消するか?
小崎 慶介
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 137

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抄録

重度の肢体不自由のある子どもとその家族にとっての生活上の困難さは単に運動機能障害に止まるものではない。当然合併する疾患や障害(知的、視聴覚、音声言語・咀嚼、発達障害など)によって様々な内容と程度の困難さがある。しかしたとえ障害が当初肢体不自由のみであったとしても、副次的に日常生活活動上、多くの制約を生じうる。これが本人や家族の社会参加の機会を日常的に制限し、結果として生じる経験不足から知的発達や対人コミュニケーション能力の発達を阻害する可能性がある。最近になって開発の進展が著しい各種の移動支援機器、コミュニケーション支援機器、入力支援機器などを、従来の制度運用上支給が認められてきた年齢よりも低年齢時から積極的に活用することにより、重度肢体不自由児の社会参加の機会が増加して従来よりも高い知的発達や対人コミュニケーション能力を獲得することが期待されている。これにより、当事者の意思決定支援が本人を取り巻く多くの関係者にとって容易になり、在宅生活を送ることを選択しやすくなるのではないだろうか?このような支援には、医療・福祉・教育・就労支援などの多角的な関わりが求められるが、2019年12月に施行された成育基本法がそのプラットフォームの役割を果たすものと期待される。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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