生体医工学
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障害のある子どもの成長を促す環境づくり~今、求められる住まいづくりと福祉用具~
植田 瑞昌東 祐二
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 138

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抄録

近年、わが国では医療の進歩とともに新生児死亡率は激減し、世界一の水準にある。一方で重い障害が残り、医療的ケアが常に必要となる子どもは増加している。また、家庭用医療機器類など技術の進歩により、多くの重度の障害がある子どもが早期から自宅での生活を送ることができるようになった。しかし、重度の障害がある子どもは日常生活すべてにおいて介助を必要とする場合が多く、とくに排泄は生命・健康を保つために欠かせない行為でありながら、自立して行うことが難しい。また、その介助に対する本人及び家族の身体的・精神的負担は、非常に大きくなっている。さらに、日本のバリアフリー住宅の多くは、手すりの設置と室内段差の解消が基準となり、高齢者対応が主である。成長・発達過程にある障害のある子どものための住環境は十分とは言えない。特に重度の障害がある子どもは、適切な時期に適切な住環境・福祉用具を整えることが重要である。したがって、自宅で生活を送る重度の障害のある子どもとその家族のために住環境を整え、生活の質を向上させ、子どもの成長を促す環境づくりに関する研究は喫緊の課題であると考える。そこで、本セッションでは、障害がある子どもの排泄動作獲得までの事例をもとに、自宅で生活する重度の障害のある子どもの成長や発達を促すための住まいづくりと福祉用具について、建築学的観点から現状と課題を明らかにする。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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