生体医工学
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ピエゾフィルムによる爪表面からの脈波計測と付け爪型ウェアラブルセンサへの応用
石井 耕平藤井 純也中井 静希飯間 颯太井上 雄介横田 知之斎藤 逸郎平岡 延章
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 150

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抄録

爪の表面に貼り付けて使用するウェアラブルセンサとして付け爪型ウェアラブルセンサの開発を進めている。付け爪の一種であるジェルネイルは数週間の連続装着が可能であり、この中に計測回路、無線回路、電池を組み込むことで、長期間の連続計測を実現しようとするものである。爪の表面に配置するため、面積、体積の制約から、電源は容量数mAhの小型電池に限られる。このため実用化には省電力化が不可欠である。脈波計測を想定した場合、光源としてのLEDが不可欠な光電脈波計測法は、電力の制約上、長期間の連続計測には不向きである。本研究では、センサ素子への電源供給が不要な脈波計測として圧電効果を利用したピエゾフィルムによる爪表面からの脈波計測を試みた。これまでの研究から爪には脈波と同様の波形の微小ひずみが生じていることが示されている。このひずみを爪の表面に貼り付けた、ピエゾフィルムにより電気信号に変換する。実験では左手親指の爪に長さ10mm、幅5mm、厚さ28μmのピエゾフィルムを接着、安静状態において、出力信号を計測した。比較対象として左手人差し指に光電脈波計を取り付け、同時に計測した。実験より、ピエゾフィルムからは振幅約70mVの周期的な信号が得られた。また、その波形は光電脈波計から得られた脈波波形と同様の形状を示した。今後の課題としては、より多くの被験者での実験、ピエゾフィルムの形状最適化が挙げられる。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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