生体医工学
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女性研究者のキャリアパス
小谷 博子
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 167

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抄録

「科学技術研究調査」(総務省 2019)によれば、現在の日本の研究者数は87万4800人で、そのうち女性は15万5000人である。研究者に占める女性割合は 16.6%と過去最高となっているが、欧米の先進諸国と比べると未だ低く、また女性研究者の上位職への登用もなかなか進まない傾向がある。大学院からポストドクターの時期は、男女ともに結婚が視野に入り、家庭を築く時期と重なる。特に、若手女性研究者にとっては、「研究と出産」か「研究か出産か」の二者択一になりがちで、葛藤・プレッシャーを強く感じる時期でもある。私自身は、博士号を取得後に出産し、日本学術振興会特別研究員のPD,RPDという立場で研究を続けることができたが、思うような業績を出せたとは言えない。業績はないことが、研究者としての自信喪失に繋がっていく。また、子育て中は、子どもの預け先の確保の問題で、学会の大会へ参加することすら難しい。特に、男性研究者の多い日本生体医工学会の大会は子連れで参加できる雰囲気はなく、私自身、再び学会の大会へ参加できるようになったのは15年経ってからであった。2018年の札幌大会より保育室の設置と男女共同参画・ダイバーシティのセッションを大会長のサポートのもと毎回企画させていただいている。本セッションでは、性別にかかわりなく、若い研究者が能力を生かして活躍できるよう、またワークライフバランスに配慮した研究環境とは何か議論してゆきたい。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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