生体医工学
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子どもから高齢者のための足部の骨格の3D定量的評価による足病予防
山下 和彦山下 知子
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 184

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抄録

足部は地面に唯一接地し,動作の起点となる重要な部位である.足部の骨は片足26個で,様々な床面,動作に対応できるように複雑な構造となっている.足部の骨格構造は,子どもの頃に発達し12歳ごろまでに基礎的構造が完成する.そのため,健常な子どもの足部を定量的に評価し,ストレスの少ない骨格構造に発達できるような支援が求められる. 一方,中高年の6割以上に外反母趾や足裏の胼胝などの足病を持っており,後期高齢者では8割以上と報告される.要介護要因の上位は,”関節疾患”,”転倒骨折”,“高齢による衰弱”が挙げられる.変形性膝関節症などの関節疾患や転倒骨折は歩行と密接であり,外反母趾などの足部変形だけではなく,扁平足やハイアーチなどの足部の衝撃吸収能力や足部の骨格構造の特性による歩行の影響を強く受けると考えられる.足に痛みが出れば,外出意欲が低下するため,身体機能の低下につながる.そのため,足部の骨格構造の特性を明らかにし,歩行による足部・関節・歩行機能をサポートすることが期待される. そこで本研究では,足部の骨格構造の定量的評価のために,スマートフォンを用いた足部3Dスキャナを開発した.本システムの計測精度は,距離1.7±0.7mm,角度 0.1±0.2°である. わかりやすい計測指標を示し,靴などのフットウェアや日常のケア,運動領域との連携で,子どもから高齢者までの健康支援に寄与する仕組みを構築したい.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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