生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
外反母趾の手術治療 -底側ロッキングプレートを用いた3次元的骨切り矯正-
大澤 誠也
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 183

詳細
抄録

【はじめに】外反母趾は単純な骨関節の変形ではなく、軟部組織の破綻を伴い徐々に重症化する母趾機能不全症である。手術においては変形のメカニズムや荷重による影響を考慮しなければならない。荷重による扁平足や開帳足を防ぐために、我々は3次元的な骨切り矯正と底側からのプレート固定を行っている。外反母趾手術の理念、概要、課題を述べる。【対象と方法】2013年以降に同一術者で手術を行い12カ月以上経過した141例179足が対象である。立位X線正面像での第1第2中足骨間角(M1M2角)、外反母趾角(HV角)、Hardy分類での母趾内側種子骨の偏移度、日本足の外科学会母趾判定基準(JSSF scale)、立位X線側面像でのinclination angle(第1中足骨軸と床面の角度)で評価した。2016年以降の63例78足で日本足の外科学会足部足関節評価質問票(SAFE-Q)を用いて評価をした。【結果】術前後平均でM1M2角(16.8→4.8°)、HV角(42→10.5°)、Hardy(6.8→2.9)、Inclination angle(20.3→20.8°)、JSSF(54.9→95.6点)といずれも有意に改善した。SAFE-Qは全項目で有意に改善した。HV≧25°の再発は5%、内反母趾は5%、骨切り部の伸展変形は2.8%であった。【考察】3次元的な骨切り矯正と底側ロッキングプレートでの固定は外反母趾手術において有用であった。回旋矯正、アーチの再現、筋腱ベクトルと緊張の正常化、骨切り部の強固な固定など手技的に難しい要素が多く、今後の課題も多く残されている。

著者関連情報
© 2020 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top