生体医工学
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医療機関での無線通信の活用と課題
山下 芳範
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 191

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抄録

医療現場では電子カルテをはじめとする電子的な情報の利用が広がっていることもあり、医療の現場での利用という観点から無線LANの利用は非常に一般的である。医療機器についても機器間の無線利用だけでなく、医療機器のICT化によってデータ通信としての無線通信を利用するものが増加している。さらに、バイタルサイン機器やセンサー等についても、IoTとしての無線通信に対応するものも広がっており、データ連携もネットワークを介して行われるようになってきた。本院においても、医療安全対策や監視等の用途でのIoTの利用としてのセンサーデータの活用も始めている。実際には、バイタル機器からの確実なデータ取得や人・モノの位置情報の特定といった利用から、感染対策強化のための手指衛生の監視とアシストによる薬剤耐性菌や未知ウイルス対策への応用なども行っている。医療現場での利用ということから場所を問わない利用としてのスマートデバイスの活用も行っており、これまで以上に無線通信が重要となってきている。これからは、単にデータ通信という意味ではなく、医療現場での働き方環境の改善といった面でも、IoTの利用が拡大するものと思われる。このように無線LAN以外の通信も混在するため、医療機関での電波管理は非常に重要となる。無線LANにおいても混信を行い運用設計だけでなく、医療機器やIoTでの通信の考慮が今後の重要な課題となる。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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