生体医工学
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コンピュータシミュレーションを用いた右室流出路伝導遅延が原因となる心室性不整脈発生メカニズムの検討
稲田 慎相庭 武司柴田 仁太郎原口 亮芦原 貴司草野 研吾清水 渉池田 隆徳佐久間 一郎中沢 一雄
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 192

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抄録

心室性不整脈の発生メカニズムの一つとして,右室流出路における電気的興奮の伝導異常が考えられている.本研究では,コンピュータシミュレーションを用いて不整脈の発生メカニズムを理論的に検討することを目的とした.心室内における電気的興奮の広がりを再現するために,約2000万のユニットで構成された両心室モデルを構築した.心室内における伝導障害を再現するために,心筋組織の一部に対してユニット間の電気的結合を弱くした.伝導障害領域の大きさや障害の程度などの条件を変えながらシミュレーションを実行し,不整脈が誘発される条件について検討した.伝導障害領域が右室自由壁にある場合と右室流出路に伝導障害がある場合を比較すると,右室流出路にある場合の方が不整脈の誘発性が高い結果となった.右室流出路周辺は,解剖学的に心室壁の厚さの変化や心筋細胞の電気生理学的不均一性が大きく,この領域に伝導障害が形成されると,電気的興奮が旋回しやすくなることを示していると考えられた.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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