生体医工学
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自動車の運転能力と音声の関係
岡崎 俊実
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 233

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抄録

1.目的近年,認知障害の疑いのある高齢ドライバーによる交通事故が問題となっている.認知症による認知機能低下と運転能力とを関連付けた、従来の方法によるスクリーニングには限界があると考えられる。我々は,人の発する音声から運転能力を推定する指標を開発した.音声を用いた推定は、特殊な専用装置を必要とせず,手軽に、日常的に、かつ遠隔的に行えるという利点がある.自動車応用では乗車の際や普段からの運転機能チェッカーとしての可能性を大いに期待できる。2.方法 運転資格を有する65歳から80歳の高齢者45名を被験者として、ドライビングシミュレータによる運転能力検査,定型文読み上げによる音声の収録を行った.多数の音声特徴量を説明変数として、5段階の運転能力検査値を教師信号として,機械学習にかけることにより、検査値の3を閾値とする二値判別器、および回帰モデルによる予測器を導出した.3.結果二値の判別器,回帰モデルによる予測器はともに良好な予測性能を有している。二値判別器では、AUC=0.85、テストで85%の予測精度であった。回帰モデルでは、R2=0.63 の相関の予測器が得られている。4.結論45名のデータの機械学習モデルにより、音声から運転能力を評価できる可能性は示唆された.今後はより多くの被験者から学習データを得て判別器/予測器の汎化性能の確認とその向上が必要である.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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