2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 247
我々はこれまで音響放射力による微小物体の生体内制御のために必要な超音波照射位置精度を実現するロボットシステムを開発してきた.しかしロボットの位置と姿勢を把握するためのトラッカーに検出不能なものが存在する場合、著しく位置決め精度が低下してしまう問題があった。本研究では,超音波照射位置精度維持のための位置・姿勢校正制御の開発とパラレルリンクロボットでの応用を目的とする. パラレルリンクロボットの3本のアームと,それらの先端に接続された超音波トランスデューサ把持機構の4か所にトラッカーを設置し,光学式3次元計測センサによって計測することでロボットの位置と姿勢を把握する.また,把持機構に設置された慣性センサにより計測した加速度と角速度から算出される姿勢の値をカルマンフィルタに適応させることで,ロボットの姿勢を推定する.以上で得た位置・姿勢をロボットの位置決め指令値と随時比較し,その誤差を軽減する位置・姿勢校正制御を行う. ロボットに位置・姿勢校正制御を適応させてピボット運動させ,検証実験を行った.その結果,光学式3次元計測センサによって検出不能なトラッカーが存在するタイミングにおいてもロボットの位置と姿勢を把握し,トラッカーがすべて検出される場合と同等の精度での位置・姿勢決めを実現した.以上より,超音波照射位置精度が維持される条件が拡張され,本システムの有用性が示された.