生体医工学
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WADAMAPを用いた血流動態計測における不随意運動抑制システム
和田 直大鈴木 孝司千葉 慎二鷲尾 利克辛川 領矢野 智之荒船 龍彦
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 248

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抄録

近年,日本では生活習慣病患者の増加によって抹消動脈疾患(PAD)が増加している.重篤なPADの場合,一般的に壊死部分の切除といった外科的治療が行われるが,治療後の患者のQOL確保において温存部位と切除部位の正確な把握は大変重要である.経皮的酸素分圧(TcpO2)計測は,既存のPAD治療において臨床で多く用いられている測定手法である.末梢動脈疾患の診断や切断部位の決定,術後の効果判断に用いられ有用性が確立された手法であるが,切除部位の正確な把握のために繰り返し多点計測を行う必要があること,計測装置が十分に配備されえていないことが課題として挙げられていた.我々は既報にて可視光カメラと画像処理を組み合わせ,足趾の背と底の血流動態を可視化するシステムを構築した.しかしその後実施したPAD患者を対象にした本システムの基礎的検討において,駆血解除時の足趾の動きが大きく,画像処理に影響を与えることが明らかとなった.そこで本研究の目的は,足趾固定具に加え,ソフトウエアによる非剛体レジストレーションを用い,駆血解除時に生じるモーションアーチファクトを除去した血流動態可視化システムの開発とする.開発した本システムを用い,健常者を被験者とした評価実験を行い,駆血解除に伴う画像上のアーチファクト低減が出来たので報告する.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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