生体医工学
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対光反射を用いた定常刺激型注視物体認識システムの研究
佐藤 有理生中谷 慎太郎西田 信一朗
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 295

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抄録

輝度が正弦波的に振動する視覚刺激を注視したとき、対光反射はその振動と同調することが近年明らかになった。また、左右一方の瞳にのみ光刺激が行われた場合,対光反射は同側だけでなく対側の瞳孔に対しても生じることが知られているが,左右の瞳に対して異なる光刺激が行われた場合の対光反射については議論の余地がある。この研究では、左右の目に異なる周波数の視覚刺激を入力したときの瞳孔の収縮の時間変化について示す。10名の実験参加者を対象に、左目に1.2Hz、右目に1.5Hzの視覚刺激を与えたときの応答を計測した。瞳孔径の時間変化について周波数解析を行った結果、視覚刺激と同じ2つの周波数帯にスペクトルのピークが検出され、瞳孔の時間的変化は2つの波形の重ね合わせとして観測されることが明らかになった。この結果は、瞳孔に生じる対光反射は左右の瞳への光刺激を等しく扱っている可能性を示唆している。この研究は、定常刺激型注視物体認識システムの研究だけでなく、医学やその他の分野への応用も期待できる。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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