生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
心電図を用いた睡眠時無呼吸イベントの検出精度向上に関する検討
小林 茉以吉岡 枝里子山内 剛谷津 翔一朗葛西 隆敏
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 305

詳細
抄録

睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing :SDB)では,無呼吸/低呼吸と関連した心拍数の変動が見られることが知られており,この周期的な心拍数の変動をCVHR(Cyclic Variation of Heart Rate)と呼ぶ.我々は24時間ホルタ心電図データからCVHRを自動的に検出するアルゴリズムを開発してきた.しかし,従来のアルゴリズムでは心拍数の変動が小さい場合,ノイズなどとの識別が困難であるためCVHRとして検出できないことがある.本研究では,RRトレンドの基本周波数の振幅と,基本周波数よりも低い領域および高い領域の振幅比に着目し,ノイズと区別できるかどうか検討をおこなった.アルゴリズムの評価にはApnea-ECG Database(PhysioNet)の70件を使用した.評価の結果,(1)無呼吸/低呼吸イベントの出現頻度であるAHI(Apnea Hypopnea Index)と検出したCVHR出現頻度の間の相関係数は0.71から0.82へ向上した.(2)CVHRの検出感度は86%から91%,特異度は86%から93%,陽性的中率は90%から95%に向上した.提案したアルゴリズムはCVHRの検出精度の向上に有効であることを確認した.

著者関連情報
© 2020 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top