2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 450
近年,脳インターフェース(Brain Computer Interface; BCI) に関心が寄せられている.頭皮上脳波(EEG)を用いることで筋萎縮性側索硬化症(ALS)や閉じ込め症候群の患者とのコミュニケーションや,脳血管障害の患者に対するリハビリテーションの実現が進んでいる.EEGは他の脳活動計測手法より安価で比較的高速な応答が得られるため広く用いられている. しかし,EEGを測定する際に用いるウェット電極は、被験者に対して導電性ペーストを使用して頭皮に密着させる必要があり、心理的な抵抗感や不快感を引き起こす.さらに,導電性ペーストは水溶性であるため長時間にわたる安定した測定が難しい。この問題の解決策はペーストレスのドライ電極を使用することであるが,ノイズが混入しやすく市販されているものは高価である.これまで,デスクトップ型の積層型3Dプリンタを用いることにより短時間で安価に任意形状のドライ電極を製作する手法が提案されているが,積層型の特性から微細な構造の電極を製作することが困難であった.本研究では,空間分解能に優れる市販の光造形型3Dプリンタを用いて微細構造を有するドライ電極を製作し,ペーストレスでの脳波計測を目標として適切な電極形状の検討を行う.さらに製作した電極と安価な脳波計測装置であるOpenBCI を用いて閉眼時優位に出現するα波の変化を計測する.