2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 451
軽度な筋断裂を早期に発見するため,筋骨格組織の電気インピーダンス分布に基づいた計測手法を提案する.提案手法では,対象に取り付けた複数の電極により様々な電圧印加条件で電圧データを時分割で取得し,機械学習により断裂の有無を判別する.特に,あらかじめ電位分布シミュレーションを行い断裂前後の電位データの相関を調べることで検知に有効な印加条件のみを選択的に使用し,計測時間の効率化を図る.また,シミュレーションにより生成した電位データを利用することで,実測が困難な断裂時のデータを用いることなく判別器のパラメータを最適化する.さらに,実測環境で生じる電極設置の誤差をシミュレーションのモデルに加え,実測環境に依存しない頑健な検知を実現する.実験では筋断裂を表現した骨格筋ファントムを作製し,検知に有効な印加条件と判別率を調べた.その結果,総数120個のうち7個の印加条件のみを用いても100 %の判別率を有しており,総計測時間は38.4 s から224 ms にまで短縮可能であることが明らかとなった.