2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 482
病院内には、様々な臭いが存在している。臭いを感じた脳は、興奮し安静が保てなくなるばかりか医療スタッフの職場環境として好ましく無い。そうした中で不快な臭いを除去することは、医療の質が保たれるだけでなく病院環境の点からも好ましい。例えば、酢酸は人工透析装置の洗浄にも使われており病院内で幅広く使用されている。酢酸は刺激臭であるため除去することが望ましい。 そのため本研究では、酸化チタンの酸化分解反応を用いて臭気除去を行った。酸化チタンは380nm以下の紫外線が照射されると、そこに存在する臭気物質が酸化分解反応を起こし、最終的にH2OとCO2に分解する。本研究では密閉された測定容器内に酢酸の気体を入れ、酸化チタンによる酢酸の分解反応をガラス検知管で酢酸濃度を測定し、同時に二酸化炭素濃度、水蒸気量も計測することで臭気分子の減少と分解分子の増加を計測した。またさらに臭いの強さは、感覚的なものであるため、定量化するために臭気気体を希釈してヒトの嗅覚で判定する6段階臭気強度法による官能試験も行った。酢酸臭気の減少を臭気官能試験による時間経過で確認した。これらの定量的測定結果より、酸化チタンによる酢酸の分解を定量的に確認できた。