生体医工学
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人工心肺装置血液回路内に発生するキャビテーションの可視化に関する検討
山内 忍奥 知子本橋 由香佐藤 敏夫
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 495

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抄録

人工心肺回路の脱血側では狭窄部で圧力損失が大きくなり、送血側では血液回路内で最も内径が小さい送血カニューレ部で圧力損失が大きくなり、脱血回路狭窄後や送血カニューレ先端部でキャビテーションが発生し、キャビテーション気泡の崩壊時に血液の溶血が発生すると言われている。本研究では、人工心肺装置操作中の血液回路に発生し、溶血の原因と言われているキャビテーションを、ルミノールの発光現象を観察することで可視化する目的とする。人工心肺脱血回路として一般的に用いられている1/2インチチューブを人工心肺用ローラーポンプに装着し、チューブ内にルミノール溶液を循環させた。ローラーポンプ吐出側のチューブを鉗子で狭窄し、脱血回路狭窄後に気泡が発生する様子と、ルミノールの発光現象を、デジタル一眼レフカメラを用いて撮影した。結果として、狭窄後に気泡の発生が観察されたが、ルミノールの発光現象は観察できなかった。発光現象が見られなった原因として流れが影響している可能性が考えられたため、超音波発生装置を用いて流れがある状態でのキャビテーション発生について実験を行った結果、流れがある状態でも音響的キャビテーションによってルミノールの発光現象を観察することができた。本実験より、血液回路内に発生した気泡については発光が観察できなかったため、音響的キャビテーションのようなエネルギーがないことが示唆された。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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