岩手医科大学歯学雑誌
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原著
犬下顎骨骨創治癒過程の125I-photon absorptiometry による骨塩定量に関する実験的研究
-低カルシウム食飼育の影響について-
坂岡 丈利
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1989 年 14 巻 3 号 p. 233-248

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抄録

犬下顎骨辺縁切除創の骨形成に及ぼす低Ca食の影響を骨創部骨塩量の増減より検討する目的で, 125I-photon absorptiometryを用い, 1~24週目まで検索した。さらにH-E標本, CMRおよびラベリング像の組織所見と対比するとともに, 橈骨骨塩量を測定し骨創部以外の骨への影響を検討した。

下顎骨対照側骨塩量は術後4週目でわずかに, 16週目で著明に減少し, 骨創部以外の骨に対する低Ca食の影響はこの時期より明らかとなった。骨創部骨塩量は正常食群と比較して術後16~24週目にかけて減少し, 骨創部に対する低Ca食の影響は16週目以降明らかとなった。対照側との比較において骨創部骨塩量は術後1週目で減少を示したが, 2週目で増加に転じ24週目まで継続した。その増加量は16~24週目にかけて正常食群よりむしろ高値を示した。これは16~24週目において骨創部で造骨は進むが骨創部以外の骨とともに骨塩量は低下を示し, 骨創部と全身的な骨における骨塩代謝との関連性が示唆された。

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1989 岩手医科大学歯学会
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