生体医工学
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病院のなかでRFIDをいかに使いこなすか
脇坂 仁
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 157

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抄録

近年、病院の業務効率化のためパッシブRFIDを用いたシステムを提案されたり、導入したりする事例が増えている。このような提案では、当然のことながら、対象となるシステムに最適化されたRFIDタグの種類と読み取り装置が選択される。しかしながら、タグや読み取り装置やアンテナの共通化や統合化によって大きなコストダウンが図れる余地がある。防衛医大病院では血液検体ラベルにUHF帯域のRFIDタグが導入され、病棟での一括読み取り確認が行われるようになり、HF帯域のFelica RFIDタグが医療情報システムの個人認証および体温、血圧、血中酸素飽和度、血糖値の取込に使われている。これに加え、患者認証、医療機器の管理、医師の勤怠管理にRFIDタグの導入が検討されているところである。病院に導入されるRFIDタグは主に上記の2種類の周波数帯域で通信するものであり、HF帯域は数cm以下の近距離で、UHF帯域は電波強度によって数m程度の距離から読み取ることができる。HF帯のタグはNFCという規格によって開発環境が整備されており、コストメリットがあるが、遠距離からの読取りはできないので、タグの共通化は必然的にUHF帯のタグで行うことになる。またマイクロ波帯のBLEやUHF帯のアクティブタグといった電池を利用したタグはアンテナの小型化が可能となるが、電池交換作業などのコスト増大を考慮する必要がある。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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