生体医工学
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Annual59 巻 , Abstract 号
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  • 日本生体医工学会
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 1-120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー
  • 弓野 大
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    高齢者は、慢性疾病の管理だけではなく、フレイルや認知機能低下などの併存疾患の存在、また生活環境では老老介護や独居など、多くの問題を抱えながら、住み慣れた地域で過ごし続けたいと願っている。わたしたち医療者は、地域での人的資源のあるなかで、高齢者に対して多様性・専門性・効率性を考えながら、いかに適切な医療が提供できるかに頭を悩ませている。ICTの進歩により多くの生体情報モニタリングシステムが開発され、この問題を解決できれば何よりである。ここで、安心して高齢者が過ごしていくにはどのようなICTが必要かを考えたい。

    生活を便利にするために、すでに多くのメーカーの電子機器のリモコンがテーブルに並んでおり、高齢者はその区別をすることも容易ではない。それに加えて、外部からの生体モニタリングが設置されるとしよう。リビングに設置した見守り機能でモニタリングできれば良いのか、心臓が悪い人には心電図波形を遠隔でモニタリングができれば良いのか、トイレでバイタルデータを経時的に拾えれば良いのか、いずれも答えはYESでもあり、NOでもある。高齢者は多様性に富んでおり、ひとつをモニタリングすればすべてが解決するわけではない。

    次に、医療者側を考えてみよう。当法人では1,000例以上の在宅医療の患者をテレナーシングシステムとして看護師が電話対応から生体モニタリングを行っている。そのデスクトップには、様々なメーカーのアプリが多く並んでいる。それぞれのICT機器は、その目的や仕様方法が違い、患者のユースケースにより使用するものが変わってくる。それを看護師が個別性に合わせ、ある意味アナログでアプリを開き、複数の指標からトリアージしていく。これがいまの医療側の実際である。

    高齢者医療におけるICTの問題点はいくつかある。臨床的意義があるのか、コストは誰が払うのか、そのリテラシーをどのように解決したらよいか。本セッションでは、超高齢社会にあるいまの現状を実臨床からお伝えし、「これから必要とされるモノは何か」、次世代の高齢者が安心して地域で過ごしつづけるために、皆さんに創造してもらえるようなセッションになればと思う。

  • 髙橋 政代
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 121
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    古くから眼科領域は新しい治療法が最初に成功する領域であったが、ES細胞、iPS細胞の移植も網膜から開始されている。ヒトiPS細胞が開発された2007年から5年で自家移植の臨床研究の申請をし、2014年9月に初めての自家iPS細胞由来網膜色素上皮(iPSC-RPE)移植、その後、HLA適合同種iPSC-RPE細胞移植、その後視細胞移植として網膜オルガノイドから作った視細胞を含む網膜シート移植を行い、安全性を確認してきた。2021年1月からは同種iPSC-RPEの移植をphase2にあたる効果確認を目的とした臨床研究として開始し、iPS細胞の臨床試験は次のステージへと移った。

    現在の臨床研究ではこれまでの対象疾患であった加齢黄斑変性のみではなく、RPEで治療可能と考えられるRPEの障害あるいは萎縮で引き起こされる疾患全てを含む網膜色素上皮不全症という概念に適応を広げている。病名は昔の眼科的所見からつけられているが、時として機序が異なる疾患群も含まれている。例えば、網膜色素変性という疾患は視細胞の変性する疾患の総称であり、視細胞の遺伝子変異によって引き起こされることが多いが、中にはRPEの遺伝子変異が原因で2次的に視細胞が変性する症例も含まれる。このように同じ病名であっても移植すべき細胞が異なる場合もある。また、逆に病名が異なっても原因がRPEの萎縮である疾患は多数存在する。これまでの病名から治療を考えるのでなく、細胞治療の観点から病名の概念を再編成することも必要となる。

    また、最初の自家移植を行う前から我々は免疫反応に注目していた。なぜなら霊長類ES細胞からRPEができて治療に使えることを2004年に動物実験で報告しており、治療を真剣に考えていたからである。しかし、主な対象疾患は高齢者の疾患である加齢黄斑変性であり、免疫抑制剤の全身投与は避けたい。iPS細胞の出現によって自家移植でその問題を避けることができ、次の臨床試験ではHLAを適合させたiPS-RPE移植で他人の細胞でもHLAの影響を排除すれば拒絶反応を免疫抑制剤なしにコントロールできることを示した。さらに現在はHLAを部分的にノックアウト(K O)したESやiPS細胞を使うことで誰にでも拒絶反応を抑えることができるというデータも出てきている。

    他の臓器であれば、局所のわずかな炎症でその機能が大きく影響されることはないかもしれない。しかし、網膜の場合はごく僅かな部分の炎症でも極度に視力が下がったり視野が欠損したりするので炎症は極力抑えねばならない。その意味ではHLAの大部分を欠損させるとしばしば起こるウイルス感染に細胞が対処できるなくなる。網膜にとって良いHLA-KOとはどのようなKOかということも考える必要がある。また、同様にRPEシート作りの際の基材に関しても炎症を起こさない生体材料を使用する必要がある。このように臓器によって炎症や拒絶反応の許容範囲も異なる。

    炎症や拒絶反応という点では自家移植はやはり最高の治療で捨てがたい。選択肢としてあるべきと考える。しかし、個々人のiPS細胞はそれぞれ微妙に異なり、培養法も調整する必要があるため、誰からでも毎回良いiPS細胞やそこから網膜細胞を作ることは難しい。自家移植のためには巧みの目と技が必要なのである。我々の研究室でもなかなかできる人は少なく教育も難しい。そこで、巧みの技をA Iロボットに移すことにした。双腕のヒューマノイドロボット「まほろ」は産総研の夏目先生が開発し、理研の高橋恒一先生とバイオロジーの実験を全てロボットにさせる「ロボティックバイオロジー」の研究が数年前からスタートしている。遺伝子実験、蛋白実験とクリアして、少し難しい細胞培養実験に挑戦するところで我々の研究室が参画しロボット細胞培養チームを作った。ロボットは1回目から普通の部屋内のブースでも一切コンタミネーションを起こすことなく細胞培養ができ、iPS細胞からRPE細胞を作ることに成功した。その後、2000種類以上ある分化誘導条件の中からAIによって検討する条件を自ら48種類(48well) 選択させ分化誘導を数回繰り返すことによって、人間が選択したよりも最適な条件を導き出すことができた。全ての条件は1wellで行うことができたが、これも手技が安定していることから可能となることである。バイオロジー実験の不確実さを、手技やうっかりミスに求める必要がなくなると別のところに観点が移るし、バイオロジーの再現性や不正など大きな無駄を省ける。また再生医療の製造ではなく非臨床試験に導入することによってもコストを下げることができるのではないかと考える。新しいバイオロジーの夜明けが期待できる。

  • 西浦 博
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 122
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
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    2019年末から新型コロナウイルス感染症の流行を認めた。わが国では史上初となる数理モデルを利用した政策策定の実装が行われた。そこで、本講演ではこれまでの流行対策の設計から事後評価に至るまでの点について整理して紹介する。特に、以下の項目についての数理的考え方について詳述する。

    1.クラスター対策のアイデアと不顕性感染

    2.侵入確率と水際対策

    3.実効再生産数と緊急事態宣言

    4.緊急事態宣言の措置内容とその効果

    5.実効再生産数の推定をめぐる問題

  • 永井 健治
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 123
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    蛍光タンパク質を利用した蛍光イメージング技術の発展により、生理機能を生きたまま可視化できるようになった。また、超解像顕微鏡技術などの顕微鏡技術の発展も近年著しい。しかしながら、蛍光観察は励起光照射が不可避である以上、光毒性や自家蛍光といった問題が原理的に解決することはできない。一方、ホタルに代表されるルシフェラーゼを利用した生物発光イメージングが注目されつつある。生物発光は蛍光と違い、外部からの励起光を必要としないため自家蛍光や光毒性を回避する事ができるからである。生物発光の蛍光に対するこのような優位性は以前から認識されていたが、発光シグナルが微弱であるため数十分もの長時間露光を要し、これまでライブイメージングには使用されてこなかった。しかしながら近年、NanoLucやNano-lantern、Akalucなどの高光強度生物発光タンパク質が開発され、生物発光によるライブイメージングが実現し始めた。さらに一部の生物発光システムでは、発光基質を生合成することも可能になり、完全自発光動植物が作出されている。本講演では、蛍光や生物発光イメージングに関する技術開発について最近の知見を紹介し、合わせて将来展望について議論する。

  • 竹村 匡正
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 124
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    昨今、情報科学やデータサイエンスの発展と相まって、個人に紐づく医療や健康に関するデータの二次利用が期待されている。主に病院内で発生する「診療データ」は、病院の電子化に伴って病院情報システムや電子カルテシステムが導入されることで、電子的なデータとして二次利用が可能になりつつある。また、これらのひとつの病院で管理されている診療データを多施設間で管理し、医療サービスの質向上に繋げることを目的として、地域医療連携システムが導入されつつある。これに関連して多施設の医療データを患者個人で突合し、また全国的にこれらの診療データを集積することで、医療ビッグデータとして利用を促進することが国の主導においても進められている。

    一方で、個人の健康・医療に関わる情報は病院のみで発生しているわけではなく、健診やウェアラブルデバイスなど、様々な「健康データ」が取得されている。これらの健康データは、ライフコースデータなどとも呼ばれ、個人の健康管理に役立てるヘルスプロモーションや、発病自体を制御して健康を維持するといった「先制医療」という新たな概念を実現するものとして期待されている。これらの健康データは、病院のような主体が質を担保しながら体系的に蓄積できない一方、行政等も含めた広範囲に存在するものであり、これらのデータを集積する仕組みとしてPHR(Personal Health Record)システムの検討が進められている。

    PHRの実現においては様々な課題が考えられるが、大きなところではデータの本人性の担保と、多様な健康関連データをどのように収集し管理するのか、ということが挙げられる。神戸においては、これらの課題への取り組みとして産官学病が広く参画している「神戸リサーチコンプレックス事業」における「市民PHR基盤」の検討を行っており、様々な検討が行われてきた。その中の特徴的な試みとして、市民に対して健康管理アプリを用いた健康サービスの提供にあたり、市民の利用申請に基づいて市役所において本人確認を行った上でサービスの提供を行っている。また、多種多様な健康データの管理においても、情報システムおよび管理体制のあり方について検討を行ってきた。今後はこれらの仕組みを用いて様々な健康関連サービスの提供、デバイス開発の実証、健康計測等を行うための基盤としての運用が期待できる。

    また、最近では個人に基づく様々なデータを突合して新たなサービスを提供する動きは、「スマートシティ」「行政DX(Digital Transformation)」といった文脈で語られることが多く、神戸市においても行政主導でこれらの動きが本格化しつつある。スマートシティにおいてはこれらの市民データをオープンにすることによる革新的な市民サービスの提供や新たな産業育成が期待されている。健康医療分野に対しても、健康データと医療データのみならず、行政が保有する様々な個人データを共通に扱った新たなサービスが検討可能になり、本分野の研究開発のあり方に対しても大きな影響を与える可能性がある。

    本講演では、これらの動きについて具体的に紹介した上で、生体医工学における新たな研究開発のあり方について、広く議論できれば幸いである。

  • 横関 俊介
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 125
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    創造的な研究力とは、新規性が高く創造的な研究ができる能力です。新しいアイディアを次々と思いつき、研究に夢中になれることです。これまで、研究者には非常に成績の優秀な人が採用されてきました。しかし、丁寧に観察すると、非常に偏差値の高い優秀な人たちの多くに、研究力の弱い人達がいることに気づきます。したがって、

    研究者の評価は、創造的な研究力で

    大変な秀才であっても研究力の高くない人は研究の現場から離れてもらいましょう(研究力の有無はご自分でよく分かっているはずです)。そのような秀才たちは、それぞれの能力に応じた仕事に専心してもらえれば、生き甲斐のある幸せな人生をおくれるのではないでしょうか(拙著:『たった1つの気づきで「本当の幸せ」に』)。

    また、変人であっても、創造的な研究力の高い人達が研究を主導できる環境を作るべきだと思います。

    以上が、82歳になる元研究者の最後のメッセージです。

    ****************

    講演は 準備したテキストに従って行います。電子配布された原稿のプリントアウトをご用意ください。

    (1)講演の内容:

      1) 創造的な研究力

      2) 創造的な研究力を育てる大学院(工学系)へ

    (2)私が行った研究例(研究の内容と裏話)

      1) X線ホログラフィ(X線回折結晶構造解析における位相問題の解決へ)

      2) Talbot干渉計(発明、発見物語)

      3) モアレ技術の基礎(モアレ技術の近代化)

  • 福田 幾夫
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 126
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    将来、南海トラフ地震、首都直下地震、地球温暖化による風水害などで病院が被災し機能を失うリスクがあり、病院機能を維持するための備えが重要である。建物、電気、上下水道、燃料、医療ガス、通信など病院を支えるインフラストラクチャが被災すると病院機能は大きく低下する。診療業務を支える職員の安全と確保も病院機能を維持するために欠かせない。過去の病院被災を検証する。建物:阪神淡路大震災、熊本地震で震度7の地震動による建物損傷で使用不能となった病院があった。常総水害、西日本豪雨災害では浸水のために病院からの避難を要した病院があった。電気:東日本大震災で火力発電所の浸水と送電網の損傷のため、東北・北関東で停電が数日から1ヶ月程度続き、非常用電源の不具合による完全停電の病院があった。北海道胆振東部地震では、被災地の火力発電所の停止による需給バランスの障害から、北海道全域が完全停電となり復旧まで約2日を要した。上水道:断水は回復まで時間がかかり、水を大量に使用する透析、手術室の運営に支障をきたす。給水車からの補給は病院での必要量を満たすことはできない。燃料:重油等の備蓄は3日程度を保持している病院が多いが、南海トラフ地震では長期間の停電とサプライの遮断により病院が孤立する可能性がある。大災害では職員も被災者となり、交通網の遮断で少ない人員での傷病者対応が必要となり、平時でのBCP策定が重要である。

  • 池内 淳子
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 127
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    【本研究の目的】2018年の台風21号では大阪府南部の多くの病院が停電し、同年の北海道胆振東部地震では全道停電に陥った。病院がひとたび電源喪失(院内の電気供給が不足する状況)すると、病院機能低下は免れない。そこで本研究では、この両災害における実病院での発生事案を分析し、今後の電源喪失対策推進方法について述べる。【研究方法】上記2つの災害を対象としたサーベイランス調査を実施し、院内発生事案を分析する。次に、対策について、設備強化策、物品購入策、マニュアル作成および訓練に分類し、今後の対策推進方法について述べる。【結果と考察】2つの災害では、院内停電が,EV停止,給水停止,電子カルテ故障および空調停止を招き、治療継続に多大な支障が認められた.また、地域の停電が病院に新たな負荷を与えたことも明らかとなった。電源喪失対策の物品購入策として「電子カルテや医療機器用の非常用蓄電池購入」や「蓄電池代わりの電気自動車購入」などを挙げた。一方で、これら購入物品を使いこなすためのマニュアル整備や実動訓練も重要である。【今後の対策推進方法】「病院の電源喪失対策は費用が高額となる」とのイメージが強いが、一般的に購入できる物品を組み合わせることで、機能低下を免れることもある。今後は、このような安価で安心な対策も注視すべきであり、特に医療機器については、災害時にも継続的に使用できるように電源を確保する必要がある。

  • 倉田 真宏, Manabu Shimoto, Kosai Cho, Takahiko Tsutsumi, Shinji Aida, Shig ...
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 128
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    For ensuring the stable continuation of medical services during a disaster, critical hospitals that serve as a regional disaster base have prepared Business Continuity Plans (BCPs). However, the BCPs do not consider sufficiently the damage to the facilities and equipment. This study examines the extent of damage to hospital facilities in this future earthquake disaster through shaking table tests that reproduce earthquake motion and seismic response simulation of hospital building models. The threshold acceleration and velocity of floors that cause rocking and tumbling of medical equipment were identified. The strength increase factor used for the design of critical hospitals does not necessarily decrease the damage to the non-structural component and critical equipment. Assuming that hardware measures such as seismic retrofitting of buildings would be difficult, improvements to the current BCP, such as listing potentially fragile equipment, would be a realistic option in increasing hospitals' disaster resiliency.

  • 工藤 昭子
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    2018年9月6日午前3:07、北海道胆振東部地震が発生し、その後北海道全域が停電した。当院は築37年の老朽化した小規模病院だが、建物に被害はなかった。しかし41時間の停電により透析治療・人工呼吸器の管理や通常診療体制に大きな影響があった。非常用電源設備に必要な燃料も入手困難だった。EMIS(EmergencyMedical Information System)への登録により、透析・人工呼吸器患者の治療継続に向けた患者の移送を速やかに行うことができた。この経験の教訓として、自施設の電気・水などライフライン設備の規模を職員が事前に知っておくこと、連絡体制や備品の準備をしておくこと、災害時に職員ひとりひとりが迷わず動けるような、アクションカードを準備しておくことが必要である。

  • 志村 孚城
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 130
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    Dementia progresses to healthy people, PCSD, MCI and Dementia. The initial research was the development of curative for Dementia. Various imaging techniques and neuropsychological tests for diagnosis, non-drug therapy, care technologies such as robots, etc. were the research subjects. Recently, when research on curative have been stalled, the entire research has been paradigm-shifted toward pre-Dementia stage. Therefore, the research subject of BME on Dementia should be also moving toward the prevention of dementia, because I believe that synergistic effects with other technical fields are important in pursuing results. Finally, as an example, I would like to introduce the Neuropsychological Test named CWPT, which enables classification of minor brain functions before Dementia. This test has already gained evidences and has been put to practical use as a screening for local residents in Japan. We have created English version of the test. If you are interested, please contact me.

  • 合田 明生, 志村 孚城, 大城 一, 村田 伸, 安彦 鉄平, 宮地 諒, 大杉 紘徳, 奥山 惠理子
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 131
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    認知症は諸々の社会問題を引き起こし,その発症予防が喫緊の課題である。近年,認知症の病期は,発症前期(pre-clinical stage of dementia; PCSD),軽度認知障害,認知症に分類される。なかでも認知症の予防介入はPCSD段階での実施が有効とされ,効率良い介入のためには集団からPCSDを検出することが重要である。しかし,既存のPCSD検出方法は侵襲性が高く,高額機器や専門検査者が必要なため,大規模集団への適応は困難であった。そこで我々は,非侵襲的で簡便なPCSD検出を目的として,質問紙を用いた漢字色別テスト物語編(color Kanji Pick-out Test; CKPT)を開発し,その有用性を報告してきた。しかし質問紙版CKPTには,いくつかの問題点があり普及していない。この問題点を克服するため,我々はタブレット端末上で,だれでも簡便に実施でき,即座に結果が表示されるCKPTアプリケーション(以下,アプリ)を着想し,開発を進めている。このアプリでは,検査オリエンテーション,測定時間コントロール,採点,結果フィードバックまでを自動で実施可能な仕様とする予定である。このため,大規模な測定会でも人手をかけずに実施可能であり,効率的なPCSD検出と,その後の認知症予防介入につながることが期待される。本発表では,開発中のアプリの概要と今後の展望について紹介する。

  • 浅川 毅
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 132
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    ディサービスやショートスティ等の介護現場では,施設利用者のQOL(Quality of Life)向上を目的として,各利用者の状況に応じた生活プログラムを実施している.家庭と密に連絡を取り状況の共有を図っている.効果を高めるためには,利用者ごとにQOL項目を精査し,それに基づいて介護施設と家庭とが有機的に連携して取り組み,お互いの役割を見極めて効果的な生活プログラムを準備・実施する必要がある.しかしながら,介護現場は日常的に多忙であり,直面する業務のため,利用者それぞれの家庭の役割にも考慮した生活プログラムの開発に十分な時間が割けない現状である.そこで,本研究では,まずQOL項目について,ICF(国際生活機能分類)の分類から「活動」と「参加」の領域を重視した項目を配置した.「活動」においては個人レベルと生活レベルの観点,「参加」においては社会レベルと人生レベルの観点より項目だてと目標設定を行い,全国老人福祉施設協議会会員355 施設へのアンケート調査をもとに精査して決定した.そして,決定したQOL項目を用いて,要介護者のQOL向上のための生活プログラムを自動生成して実施結果をデータベース化するコンピュータシステムを開発した.各施設における導入や利便性を高めるために,本システムは普段使用しているブラウザ上から利用できるものとして開発した.本稿では,開発したシステムの詳細とその利用について論じる.

  • 山下 和彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 133
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症,それと同程度の人数の軽度認知障害(MCI)が存在すると報告される.そして,糖尿病や高血圧などの慢性疾患を複数持つことはアルツハイマー病や脳血管性認知症のリスクを高めると報告されている.2042年には高齢者人口がピークの3935万人となり,75歳以上の後期高齢化率の高まりから,認知症および軽度認知障害の特性を理解し,早期から日常生活機能を高めるアプローチが求められる.本研究では,ICTによる活動量計を用いた歩数と活動範囲を6年間調査してきた.対象者の中には30名の認知症者がおり(調査期間中に発症した),日常の歩数,買い物などのアクティビティが観察され,日常生活機能が評価できている. 一方で,認知症を含め,多くの高齢者の足部や足爪に変形などの問題が発生しており,転倒リスクの上昇と外出阻害要因となっている.本研究では,MCIを含む認知症の対象者に足部ケアを5か月間実施し,身体機能と行動の変化を調査した.MMSEが23点以下であっても足部ケアにより,下肢筋力,足指の可動性などの下肢機能が有意に改善した.さらに,MCIの対象者は活動性が向上し,地域活動に誘導することが可能となった.安心して歩ける身体づくりと日々の歩行状態を見える化し,習慣化するICTシステムは認知症者やハイリスク者にとって,本人,支援者双方に有効であることが示唆された.

  • 赤澤 堅造, 奥野 竜平, 一ノ瀬 智子, 田部井 賢一, 近藤 瑛佑
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 134
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
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    認知症を薬により根本から治すという治療法は,まだ確立していない.米国で修道女Nunを対象とした認知症の縦断研究「Nun Study」があり,認知症の予防あるいは進行を予防するためには,神経・精神活動や適度な運動を盛んにするということが重要であることが示唆されている.つまり非薬物的な介入の重要性が示されている.楽器演奏および音楽療法などの介入に対するエビデンスは十分ではないが,着実に蓄積されつつある.本研究では,これに焦点をあて,健常者,MCI者,認知症患者を対象として,認知症予防のエビデンスン関する文献調査を実施し,その結果を報告する.筆者らは,障害のある方々が容易に楽曲を本格的に演奏できるアクセシブル電子楽器サイミスを開発し、この10数年にわたり,福祉施設や医療施設での利用を推し進めてきた.プログラム化した楽譜をコンピュータに内蔵させ楽器サイミスである.スイッチ,タッチパネル,エアバッグ等のユーザインタフェースが利用できる.本報告では,これらのデバイスの概要,そして健常高齢者,福祉施設における障害のある中高年者,中重度の認知症患者への使用例などを紹介する

  • 木村 裕一
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 135
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
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    本シンポジウムは、在宅での補助人工心臓及び血液透析治療に対する問題点を、臨床現場で実際にこれらに関わっておられる先生方からご説明頂いた上で、これらを解決するために必要となる医工学研究の有り様を具体的に検討することを目的とする。

    背景は以下の通りである。

    体内植込み型の補助人工心臓(Ventricular assist device, VAD)の発達によって、末期重症心不全患者が在宅で療養したり社会復帰することが可能となっている。最近では、移植を前提とせずVADのみで長期に渡り治療する長期在宅治療(Destination therapy, DT)の治験が終了し、承認間近となっている。一方で、末期腎不全患者を治療する血液透析についても、透析装置を患者宅に設置して治療を行う頻回透析や夜間就寝中の透析が可能となっている(在宅血液透析,Home hemodialysis, HHD)。以上の状況の下、該当する患者の治療効果やQOLが大きく向上していることは明確な事実である。

    しかしながら、関連学会によるガイドラインによれば、何れも家族等による介助が前提となっていることから、在宅での人工臓器治療の適用性において大きな課題が存在する。

    特にHHDでは有効性が明らかであるにも係わらず、その患者数は全透析患者数(約34.5万人)の僅か0.2%(760人)に過ぎない。この主たる要因として挙げられる介助者の前提は、少子高齢化および単身世帯が増加の一途を辿る我が国では極めて深刻である。

    そこで、介助者を現在の1人からゼロに向けて下げていけるような在宅医療に纏わる医工学的な作り込みが求められている。

    日本生体医工学会では在宅介護や高齢者医療のための、遠隔から生体情報を収集するための研究が進んでいることから、この技術を応用することで、在宅人工臓器治療の普及に資することが出来よう。加えて、在宅での人工臓器治療では、医療機関などによる遠隔からの管理が必要となるであろうことから、個人情報保護など、医療情報に纏わる法的な問題も解決していく必要がある。

    これまでの学会としての取り組みは以下の通りである。

    2020年11月に高知での第58日本人工臓器学会大会で、本課題に関する第1回の合同シンポジウムを開催した(セッションタイトル:「在宅医療と人工臓器の過去・現在・未来」)。続いて、学会内に専門別研究会 「在宅人工臓器治療研究会」を立ち上げると共に、日本人工臓器学会から、検討すべき医工学及び規制科学領域の問題点の提起も受けており、これらを踏まえて今回の第2回合同シンポジウムを開催するものである。

    本シンポジウムでは、現場に居られる主導的立場の先生方から在宅人工臓器治療の推進に支障となっている問題点を数多く提起して頂けるので、そこから様々な研究テーマに繋げていくことが期待できる。又、研究会では、医学系と工学系とのマッチングをとることも検討している。是非ご来聴頂き、ディスカッションに参加頂けると幸いである。

  • 古薗 勉
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    近年、心不全や腎不全などの重症臓器不全患者を対象とした補助人工心臓(Ventricular assist device, VAD)や在宅血液透析(Home hemodialysis, HHD)などの人工臓器を用いた在宅人工臓器治療はめざましい進歩を遂げている。それぞれの人工臓器の機能の向上や小型化によって、これまで入院施設や集団的治療が行われていた状況から一変して患者宅で実施できるようになった。それにより、患者の生活の質(Quality of life, QOL)や日常生活動作(activities of daily living, ADL)が一段と向上し、健常者と変わらない社会貢献ができる時代となっている。しなしながら、これらの在宅人工臓器治療は、海外の先進諸国では患者自身が介助者なしで治療を行えるにもかかわらず、我が国の治療ガイドラインやマニュアルなどではそれが許可されていない。この事実は、我が国の在宅人工臓器治療の拡大を妨げる主要な一因となっている。これには、我が国がゼロリスクを求める社会であることが背景にある。これを改善するには、安全性を担保しながら、遠隔医療やモニタリングに係る新技術を在宅人工臓器治療に導入することが重要と考えられる。日本生体医工学会と日本人工臓器学会などの関連学会との積極的な医工連携の実現が、現状を打開するゲームチェンジャーとなることを期待している。

  • 西中 知博
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 137
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    重症心不全に対する植込み型補助人工心臓を用いた治療は心臓移植へのブリッジ使用として広く普及し、心臓移植を目的としないDestination therapyも開始されようとしている。今後植込み型補助人工心臓による循環補助下の在宅治療、そして社会復帰がさらに拡大することが期待される。このような状況において、患者の安全と安心、医療の発展を目指す上での諸課題の解決が望まれる。在宅モニタリングの発展とその有効な活用を可能とするvirtual診療、在宅看護、緊急医療体制および在宅リハビリテーションなどの遠隔または在宅診療システムの整備が必要である。職業従事、就学といった自宅以外の環境における安全と安心をいかにして向上させるか、補助人工心臓を装着した患者の社会生活を送るうえでの障壁をいかにして取り除くかは重要な課題である。これらの諸課題の総括とその発展的解決策を医工連携のもとに推進することが重要であると考える。

  • 西村 隆
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 138
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    2011年より開始された植込型補助人工心臓(VAD)治療は、すでに1500例以上に提供されているが、その成績も極めて良好である。その多くが在宅治療まで到達できている一方で、初回再入院までの期間が1年未満の症例が60%以上と高頻度である。再入院理由は感染症、神経機能障害、不整脈、装置の不具合等が報告されている。いずれの合併症も致死的となる可能性があるが、その発生率に比して良好な生存率が得られているのは早期対応ができているためと考えられている。 この成績の維持に貢献しているものとしてガイドラインによる治療の標準化、治療参加施設および医療従事者に対する認定制度を教育制度、全例登録を義務づけたレジストリによる治療成績管理が挙げられる。 現在進められているVAD治療の適応拡大に伴い、更なる治療の長期化、ハイリスク化が進むと考えられているが、これを克服するために、いくつかの医工学的アプローチが報告されつつある。その一つとして、感染の門戸となる駆動ケーブルの皮膚貫通部を無くする「経皮的エネルギー伝送」である。電磁誘導で体外から直接ポンプ駆動電力を供給するもので、すでに海外では臨床使用が開始された。もう一つは、「遠隔モニタリング」で、新しい通信環境、AI等を駆使して、ポンプおよび患者の異常をいち早く検知して対応すること目指している。このように、今後も在宅VAD治療に医工学の果たす役割は大きいと期待される。

  • 政金 生人, 古薗 勉, 若井 陽希
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 139
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

     在宅血液透析(Home Hemodialysis: HHD)は自らのライフスタイルに合わせて、十分な透析量を確保出来る理想的な透析治療であり、また単位時間内の除去効率・除水量を低下させるため、施設血液透析より安全な治療といえるが、維持透析患者のわずか0.2%がその恩恵を享受しているのみである。

     我が国ではHHDに介助者の存在を必須としており、独居者や同伴者が高齢な場合などHHDの道は事実上閉ざされ、その普及を妨げる要因になる。しかしながら患者の生体情報を収集し、AIによる自動診断から、患者へのアラートや緊急出動態勢発動を行うことができれば、介助者の負担を限りなく低減でき、その先の将来を見通す基礎になる。

     HHD治療中に起きるトラブルは、患者の居眠りや思い違いなどのミス、抜針や血圧低下など治療に由来するトラブル、健康人にも起こる心臓病や脳卒中などの急変である。これらを察知する指標には、患者の意識状態、血圧や脈拍、体動パターン、治療機器の状況などがあるが、新しい生体指標も提案されてきている。

     諸外国では患者と医療者の契約のもと自己責任でHHDが行われており、治療中のトラブルで不幸な結果を招いても医事訴訟に発展することはほとんどない。しかしながらゼロリスク社会の我が国では、あらゆるトラブルに対応できる遠隔モニタリングシステムの構築が、患者と介助者の負担を軽減しHHD普及の必須要件と考えられる。

  • 中島 一樹
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 140
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    中枢温や血圧などのバイタルサインは在宅医療のために体温計や血圧計を用いてモニタされる.これらのデータは在宅での健康やホルモンバランスの管理に利用される.しかし,新型コロナウイルス感染予防のような強い動機をもっていなければ,バイタルサインを自宅で毎日測定し続けることは容易でない.本講演では患者の積極的な協力なしに測定されるバイタルサインとしてトイレ排泄とテレビ利用について報告する.本研究の一部はJSPS科研費 JP19K09667 の助成を受けたものです.

  • 黒田 知宏
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 141
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    一般的に「遠隔医療解禁」と報道されたように、平成30年診療報酬改定では、遠隔医療に関わる多くの診療報酬が新設・増点された。同改定では、(1)遠隔画像等診断、(2)オンライン診療、(3)遠隔モニタリングの三類型に分類した。(1)や(2)は、従来から試みされてきた、いわゆる「マルチメディア通信」を用いた「旧来の」遠隔医療であるのに対し、(3)は、ネットワーク接続できる在宅医療機器が存在することを前提とした、「新しい」遠隔医療である。今後、在宅自己管理が広がっていくことが期待される中で、遠隔モニタリングの必要性は更に高まるものと期待される。本講演では、在宅睡眠時呼吸管理に関する遠隔モニタリングのための情報システムのありようについてまとめた演者らの先行研究について紹介し、在宅人工臓器治療の推進へ適用するための今後の研究・開発のアプローチについて、演者の私見を述べる。

  • 生田 幸士
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 142
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    「眼からウロコ」とは、本質を突き、ユニークな発想で問題解決することを意味する。「一休さんのとんち問答」の上を行く発想をイメージして欲しい。昨今、ロボティスクやマイクロマシンも内外の学会が創立30周年を超えた。所属研究者、学会会員の平均年齢は30代前半と、生体医工学会の平均年齢より10歳は若い。しかし研究テーマと解決策は決して若くない。流行に流され眼からウロコと言える研究成果は多くない。 どんな分野も20年を超えると新規性が無くなると言われているが、その沼で、ユニークな解決策を産み出せれば目立つだけでなく、評価も高くなること。 医用ロボティクスも、研究者が増えたが、飛びぬけた発想は多くはない。解決のヒントは新原理、新概念にこだわることであり、具体的には新素材、新機構と新しいスタンダートを考案することである。今風に言えば「シン・メカトロニクス」から攻めることである。さらにかつて捨てられたアイデア、技術にも境界条件が異なる医用介護分野で生きるものもある。 生田らは形状記憶合金から生分解性ポリマーまで、マクロスケールからナノスケールまでを研究医対象としてきた。その研究過程で得られた眼からウロコテクノロジーを紹介する。医療福祉分野では、シンプルだが秀でた技術を意味する「簡秀技術」が複雑なハイテクを用いるより効果的である場合も多い。特に実用化の際、許認可過程で再認識すべき重要な視点となる。

  • 野方 誠
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 143
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    My research presents an advanced locomotion method that produces non-slipping motion in digestive organs and the abdominal cavity. New movement principle of the robot, which has a soft and deformable body that can move through a confined space is proposed. The mechanism of a toy water snake is applied to this principle. Magnetic particles inside the water balloon are affected by the external magnetic field and push the inner side of a balloon to the direction of a magnetic field. We construct an experimental model to verify the proposed principle, the sliding movement is measured using the model. Confirmatory experiments of movement are conducted in the two sheets that imitated internal organs.

  • 池内 真志
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 144
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    体外受精で生まれる子どもは年々増え,現在,約16人に1人となっている.体外受精は,精子と卵子を体外にとりだして受精させた胚を子宮に戻して妊娠させる治療であるが,妊娠成功率が低いこと,および,母子の生命に危険をもたらす異所性妊娠のリスクが高まることが課題となっている.治療の反復は,特に女性にとって肉体的,精神的な負担を伴うことや,高額な治療費による経済的負担から,途中で治療を諦めざるを得ないカップルも多い.妊娠成功率を下げ,異所性妊娠のリスクを高める原因の1 つとして,子宮内に移植された胚が浮遊し,着床に適した部位に留まらないことが考えられる.本講演では,この問題を解決するために,胚を着床に最適な位置に運び,保護する「胚移植マイクロロボット」研究の最前線を紹介する.

  • 井上 佳則, 生田 幸士
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 145
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    熱溶融型、粉体焼結方式の3Dプリンタに比べマイクロ光造形法は、液体樹脂のプールに紫外線レーザーを照射することで光重合反応により液体樹脂を硬化させる。ため加工精度が圧倒的に高い。しかし重合反応の開始剤が不可欠で、本質的にラジカルな素材であるため生体への毒性が高いという問題があった。筆者らは光硬化後の造形樹脂上での細胞培養試験を行い、高い細胞毒性を確認した。安全な物質で表面コーティングするなど種々の工夫を試したが効果が無かった。最終的に樹脂の軟化温度を超える高い温度での熱処理が有効であることを見出した。従来マイクロ光造形法でも硬化樹脂の機械特性を安定化させるために硬化後の熱処理が行われてきたが、光造形樹脂内部の毒性物質を無毒化するには従来よりも高温での処理が必要であることが分かった。熱処理温度、時間などの最適条件の探索を行い、細胞レベルでの生体適合性を付与することに成功した。さらに高温熱処理時に発生するガスを分析し、毒性の原因を明確化した。また高温熱処理後も樹脂が十分な強度を持つことなど、機械特性の精密測定を行い、生体、医用応用の可能性を検証した。本研究成果を用いれば、今後、光造形法で作製した構造を体内埋め込みや、種々のバイオ医療デバイスへの応用を加速することができるようになった。

  • 荒船 龍彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 146
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    生体を数値モデルで再現するin silico研究(生体シミュレーション研究)は,生体機能の解明にフォーカスを当てた従来の研究に留まらず、現在飛躍的に発展しその活躍の場を広げている.2013年のFDA、NIH主催のin silicoワークショップを皮切りに,医薬品創薬のみならず,医療機器開発における重要度が増している.米国FDAが医療機器開発にin silicoを活用するガイダンスを策定しており,欧州学会を中心としたAvicenna Allianceは数百ページに及ぶin silico医療機器開発ガイドブックを発刊し,その認知と環境整備が急速に整いつつある.わが国でも次世代医療機器ガイドライン(アブレーションカテーテル,PDT等)にin silicoを用いた医療機器評価に関する記載が盛り込まれるなど,その重要度は増している.海外で先行するin silicoと医療機器開発・評価の最新動向を,in silicoを実際に活用した機器の具体例を交えながら紹介し,改めて生体医工学分野におけるin silicoの重要性を議論する題材としたい.

  • 富井 直輝, 瀬野 宏, 山崎 正俊, 佐久間 一郎
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    心室細動や心房細動といった頻脈性不整脈では,心臓内に異常で複雑な電気的興奮波が発生する.心室細動は心臓突然死につながる致死性疾患であり,高齢者に有病率の高い心房細動も血栓による脳梗塞リスクを増大させる.これら細動に対して今日,血管を介して心臓内にカテーテルを挿入し,異常興奮箇所を焼灼するアブレーション治療が広く行われているが,特に慢性化した複雑な細動に対しては効果的な焼灼標的は未だ不明であり,術者の経験に基づく様々な焼灼戦略が提唱されているものの,最適な焼灼戦略は確立していない.我々は客観的かつ効果的な細動焼灼戦略の確立に向け,細動中の興奮様態に基づいて最適な焼灼標的を選択する機械学習モデルの構築を試みた.本発表では,2次元の心筋組織の電気的興奮伝搬を数値的に再現する電気生理シミュレーションモデルで細動状態を再現し,各細胞の興奮状態を表す膜電位分布の時系列を手がかりに,組織上の焼灼標的を選択する深層ニューラルネットワークモデルのin silico学習の結果について報告する.

  • 原口 亮
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 148
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    生体モデリング・生体シミュレーションの技術は,生体現象の解明のみならず診断・治療を目指した様々な研究領域で用いられている.心臓不整脈領域を中心にモデリング・ツール・データシェアリングや “digital twin” の新潮流について概観する.また計算科学に基づく心臓シミュレーション研究と生体医用画像研究との連携についても紹介する.

  • 芦原 貴司
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 149
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

     コンピュータシミュレーション(in silico)は,長らく学術領域で理論研究の方法として用いられてきたが,近年,医療機器開発にも活用されるようになった.ここでは3つの活用事例を示し,将来に向けたin silicoのニーズと課題について述べたい.(事例1:医療機器の開発段階において)バイドメインモデルで構築された心室モデルを用いて電気的除細動の仮想実験を行い,電気ショック波形,電気ショックリード等,電気的除細動器の開発に見通しを付ける.(事例2:医療機器そのものとして)心筋細胞の数学モデルをユニットとする心臓安全性薬理試験用シミュレータ.未知の薬物がどのような活動電位変化や臨床心電図変化を示し,催不整脈性の有無を判定できる.(事例3:医療機器の一部として)非発作性(慢性)心房細動患者の心内で計測した生体信号を記録する医療機器と,その生体信号情報を補完するシミュレータによるハイブリッドシステムで,治療標的を推定できる. かつてin silicoは基礎・臨床医学に基づく仮説を検証するための一手段に過ぎなかったが,医療機器そのものが持つ技術的・経済的・倫理的限界を解決するために,医療機器の開発段階における精度検証や予備試験として,または医療機器そのものあるいはその一部として用いられるようになった.もっと最近ではAIのブラックボックス部分の説明ツールとしてのニーズも高まっており,in silicoのさらなる拡充が見込まれる.

  • 大沼 健太郎, 住倉 博仁, 築谷 朋典, 巽 英介, 小嶋 孝一, 本間 章彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 150
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

     補助人工心臓をはじめとする機械的循環補助装置の実用化に向けた非臨床試験では、生体適合性や実現可能性を検証するための大動物試験や、デバイスの機械的耐久性を評価するための模擬循環試験が行われる。一方、探索的研究開発の段階において、生体の循環系の環境を模擬した流体回路(広義の実体循環シミュレータ)による評価技術は動物試験に係る人的、時間的・経済的コスト削減に有用である。本発表ではまず、機械的評価系として我々が開発した模擬循環試験装置(自然心に相当する拍動ポンプを備えた流体回路)で、正常心あるいは病態心の循環系を模擬した圧力・流量負荷を発生可能とするための機構を示し、さらにデバイス評価への応用事例を紹介する。一方で、in silicoの血行動態シミュレータは、人工臓器分野への応用も含めて、国内外から多くの報告がなされており、近年のコンピュータ技術の進歩に伴って機械的補助循環装置開発へのさらなる活用が期待されている。ここでは、簡便な電気回路モデルで構築したPCベースのリアルタイム両心室循環シミュレータを用いて補助人工心臓制御に関する基礎検討を行った結果について紹介する。さらに、同様のシミュレーション手法を模擬循環装置実機の改良に相補的に活用するための取り組みについても併せて報告する。

  • 荒船 龍彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 151
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    日本生体医工学会若手研究者活動ワーキンググループによる『若手研究者が医療機器産業における産学連携を加速させるノウハウの集約』は3年目を迎えた.1年目の産学連携失敗談のシェア,2年目の産業界から見たアカデミアの『ヘンなところ』に続き,本年は改めて産学連携のきっかけとなるポイントを洗い出し,産学連携に関心を持つ本学会会員がシームレスに産学連携に着手できる導線を描く狙いがある.本発表では,産学連携につながる公的支援,機器メーカや投資ファンドといった産業界側からのマッチング活動,さらには学内の産学連携機関の独自活動を紹介しながら,それらを活用した共同研究に着手するまでの実例を,外科治療機器開発,画像処理を用いた診断機器開発,IoT機器と組み合わせた医療トレーニング機器開発といった実体験を踏まえて紹介する.既知の繋がりから始まる実用化に向けた共同研究もあれば,全く知らない相手同士の産学連携も実用化・事業化へのダイナミックなステップと成り得る可能性があり,チャンスと捉えた価値観の共有を目指す.

  • 木阪 智彦, 管 仕成, 石北 直之
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    広島大は県医療関連産業クラスター形成事業の一環として、インド政府と連携したバイオデザインプログラムを構築してきた。国内市場の縮小と新興国市場の拡大に対応し、ニーズに基づく低廉ながら必要十分な機能を有する機器開発と、これを担う人財育成を目的とする。バイオデザイン手法を先駆的に取り入れた米国とインドでは、「シリコンバレー型バリューチェーンの確立」、「リーンスタートアップを原動力にデジタル化を遂げた新興国型イノベーション」という解が示され躍進が続く。我々はインドでの学びに立脚し、現場ニーズ(=痛み)を満たし、手が届く価格の機器を日本の技術力と信頼性を活かして開発するフルーガルイノベーションの実現を目指す。2019年にフェローコースを開設し、ものづくり企業への学術指導を実施した。2020年には、未曾有の疫禍となったCOVID-19により、限られた医療資源の最適化が求められるなか、物流が滞る状況下で開発できる体制を構築した。地方を拠点とする医療機関、大学、企業がリソースを持ち寄る分散型開発プラットフォームを提案し、AMEDの採択を受け「ウイルス等感染症対策技術開発事業」を推進する。発明者である石北直之の所属機関である新潟病院に事務局を設置し、同院が事業の実施機関となった。この取り組みをCOVID-19の蔓延する社会情勢においてもレジリエンスを発揮し、機器開発を推進する最適解となりうる可能性とともに報告する。

  • 木阪 智彦, 石北 直之
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    これまで平時において、医療機器領域でイノベーションを起こすにあたり大都市への集中が有利と考えられ、中央集中型の開発ネットワークが形成されてきた。大都市に集まる情報、高度情報化と製造ラインの集約、許認可プロセスの利便性、産学官連携に加え財界とのアクセスが成功のチャンスを高めてきた。未曾有の疫禍となったCOVID-19が広がり、物流が滞る状況下で平時の医療機器開発プロセスは麻痺した。我々は、地方を拠点とする中核病院、国立大学、企業がリソースを持ち寄る形の分散型医療機器開発プラットフォームを提案し、フルーガルな開発フェーズを実践するチームを編成した(研究代表:石北直之)。発明者が所属する国立病院に事務局が設置され、国立病院機構が全面的に支援するなか活動を継続した。この取り組みをCOVID-19の蔓延する社会情勢においてレジリエンスを発揮し、機器開発を推進する解として提示する。緊急事態宣言が発出されなかった地域の研究機関を中心に、試験機器開発・非臨床試験・実験動物を用いた生体パラメータ評価・品質管理体制の導入支援において開発チームの多様性が強みとなった。試行錯誤し見出した日本型のエコシステムが、これから「和」の国に集うイノベーターが国際的な舞台へと飛躍するためのプラットフォームとして根付くことを希求し、今後の活動が地方創生につながることで、持続可能な将来を実現する可能性について展望したい。

  • 朔 啓太
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 154
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    「アイディアを予算化し、実現すること」は研究者における定義の一つである。医工学分野では実現とは医療につながる機器を創出することであり、医療機器創出には、ものを作る技術とともに、実用化を目指した産学連携活動が必須である。発表者は、所謂ビッグボスのもと、豊富な研究資金や産学連携活動が当たり前として存在する環境でキャリアをスタートしたが、自身が主任研究者(PI)をつとめるようになると、企業導出の難しさを実感するようになった。研究コンセプトが独創的かつ可能性にあふれていても、無名で業績がない若手に投資を積極的にしたがる人は少ない。挑戦を恐れる日本社会などという安易な社会批判に帰着する問題ではなく、若手だからこそ、大胆なコンセプトを実現する確度を適切に主張する必要がある。発表者は幸いにも、さまざまな産学連携活動に携わることができているが、もっとも重要であったアクションは、臨床的にインパクトのある論文を積み重ね、学会などの場で自身の認知を医師だけでなく企業の方々に増やしたことである。長期的視点で物事に取り組める点で若手であることはそれ自体が武器である。一方、期待値につながる「その人本人の」研究文脈がコラボレーション開始には重要である。

  • 青井 堅
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 155
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    これまで主力産業を医療機器としてこなかった「異業種」企業が医療機器、ヘルスケアへ参入しようという動きが活発化している。それに伴って企業と大学の産学連携の機会も増している。一般的に産学連携は、現場担当者同士が意気投合すれば、共同研究を開始することも多いが、それが長期的な取り組みとなっている例は多くない。しかしながら医療機器開発には、ニーズ探索、開発、さらに承認取得後の市販後調査、臨床における新たな課題解決など、非常に長期の視点が必要となる。そのため、産学連携した場合にうまくいかないことが発生する。著者はこれまで様々な産業分野でのコンサルタント業務を経験し、産学連携・異業種連携などの例も見聞きしてきた。産学連携のミスマッチ原因の多くは、GOALの共通認識形成や、お互いの持つ様々な認識の差に拠るものが多く、この認識の違いに気づかないままプロジェクト進行、あるいは気づいても軌道修正の手段を講じられないまま、進んでしまう場合もある。産学連携における落とし穴と、解決法に関して、医療機器開発を目指す若手研究者や新規参入企業のアウトプットを円滑にする施策について、主に企業ニーズなども元に提案する。

  • 保坂 良資
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 156
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    COVID-19のような感染環境下では、ソ-シャルディスタンスとも称された乖離距離が重要である。現在、患者やSPDに代表される医用物品はバ-コ-ドなどで近接認証されている。このバ-コ-ドは、医療環境でも広く普及している。しかしこれらが用いる近接認証は、COVID-19の状況下では適さない。一方UHF帯RFIDならば、COVID-19環境下でも安全な個体認証を実現できる。UHF帯RFIDは充分な認証域を得つつ、電磁的安全性も担保される。これまでの実験から、ベッドサイド認証では50cm程度の認証域が得られる100mW程度のハンディリ-ダが適しており、院内ヒト・モノ所在管理では、300cmほどの認証域が得られる500mW程度の据え置き型リ-ダが適する。著者はUHF帯RFIDによるリストバンドを提案している。この場合、看護師が携行するハンディリ-ダの出力調整で、0cm認証(10mW時)から50cm認証(100mW時)まで自在に設定できる。COVID-19専用病棟では250mWのハンディリ-ダを用いれば、200cm程度乖離してもリストバンド情報を読み取れる。いずれの場合でも患者は電磁的に安全である。リストバンド以外でも、このような認証情報メディアはCOVID-19環境下で効果的と言えよう。

  • 脇坂 仁
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 157
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    近年、病院の業務効率化のためパッシブRFIDを用いたシステムを提案されたり、導入したりする事例が増えている。このような提案では、当然のことながら、対象となるシステムに最適化されたRFIDタグの種類と読み取り装置が選択される。しかしながら、タグや読み取り装置やアンテナの共通化や統合化によって大きなコストダウンが図れる余地がある。防衛医大病院では血液検体ラベルにUHF帯域のRFIDタグが導入され、病棟での一括読み取り確認が行われるようになり、HF帯域のFelica RFIDタグが医療情報システムの個人認証および体温、血圧、血中酸素飽和度、血糖値の取込に使われている。これに加え、患者認証、医療機器の管理、医師の勤怠管理にRFIDタグの導入が検討されているところである。病院に導入されるRFIDタグは主に上記の2種類の周波数帯域で通信するものであり、HF帯域は数cm以下の近距離で、UHF帯域は電波強度によって数m程度の距離から読み取ることができる。HF帯のタグはNFCという規格によって開発環境が整備されており、コストメリットがあるが、遠距離からの読取りはできないので、タグの共通化は必然的にUHF帯のタグで行うことになる。またマイクロ波帯のBLEやUHF帯のアクティブタグといった電池を利用したタグはアンテナの小型化が可能となるが、電池交換作業などのコスト増大を考慮する必要がある。

  • 海野 泰
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 158
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    前回、RFIDをネームリストバンドとして患者の手首に装着して放射線科領域で利用するために、RFIDの破損、障害陰影、MRIでの発熱の発生について実証実験を行った結果、単純X線撮影においてHF帯で障害陰影が出たが、UHF帯では視認できなかった。また、X線CT撮影、1.5TMRI、3.0TMRI、でも障害陰影を生ぜず、MRIにおいて60°C以上の発熱を生じなかった。さらに、PET、10MevX線リニアックを含めて、タグの破損、読み取りエラーは起きなかった。これにより、RFIDは放射線領域においてネームリストバンドとして利用できることが解った。今回、RFIDタグは、患者認証システムとして適するかを、患者の行動特性、施設、認証方法、感染対策について検討した。その結果、入院患者には適しているが、外来患者では適していない。また、過渡期において、現在のバーコード認証システムとRFID認証システムをどのように整備するかが課題になる。

  • 高見 美樹, 中西 永子, 西海 英子, 石垣 恭子
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 159
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    保健医療福祉情報システム工業会におけるオーダーエントリー・電子カルテシステム(以下、電子カルテ)導入調査報告書(2018年調査)によると、電子カルテの導入率は45.3%、導入件数で見ると病床規模が150~299床の病院で最も多いと報告されている。電子カルテが導入されている病院に勤務する看護師は、電子カルテから患者情報を得て、日々の患者ケアを行っている。また、日勤の時間外業務への影響要因と残業業務の調査では、始業前に「患者情報収集」を行う前残業が多いとの報告がある。そこで、電子カルテが導入された200床未満のA病院に勤務する看護師を対象に、始業前における電子カルテを用いた受持ち患者の情報収集を行う際の所要時間や、その情報収集項目について自記式質問紙調査を行った。その結果、患者情報を収集する際に、「必ず見る」とする情報については、「医師指示」、「注射」、「医師記録」、「患者スケジュール」、「看護記録」、「看護指示」。反対に、患者情報を収集する際には「見ない」とする情報については、「入院日数」、「住所」、「身長」、「体重」、「血液型」、「保険の種類」などであった。次いで、電子カルテに表示されている情報の見方を明らかにすることを目的に、調査用の電子カルテを用いて、日勤業務開始前における受け持ち患者の情報収集を行う際の視線の動きについて視線計測器を用いて収集した。

  • 瀬戸 僚馬
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 160
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    看護師や介護職が行うケア記録を自動化することは、働き方改革の重要課題である。そこで筆者は過去に体圧分散マットレスにICチップを埋め込み、使用方向を読み取って情報端末に記録できる仕組みを考案し実用新案登録した。ただし日常生活ケアは幅広く、逐一こうした議論を積み重ねることは現実的でない。そこで既存記録を分析し、そこで頻度の高い記録内容に特化して自動化する方法を提案する。

  • 市村 垂生, 永井 健治
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 161
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    生体システムの多くの現象では,少数の細胞が多細胞システム全体に作用して,システムに劇的な変化をもたらす。このような現象の背後にあるメカニズムを理解するためには、膨大な数の細胞集団の時空間的なダイナミクスを細胞分解能で観察することが不可欠である。我々は、従来の顕微鏡の限界を超えた1cm以上の広視野での細胞イメージングを実現する「トランススケールスコープ」と呼ぶべき装置を開発している。これにより、視野内で10万から100万個の細胞集団のタイムラプスイメージングが可能であることを実証した。画像全体の任意の位置にズームインすることで、その局所領域における細胞の分布とダイナミクスを知ることができる。これまでに、HeLa細胞のカルシウムイオンや細胞性粘菌のcAMP動態のイメージングに応用し、0.01%以下の希少細胞の検出、および稀少細胞が引き起こす多細胞イベントの観察に成功した。

  • 堀川 一樹
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 162
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    心臓や脳などの興奮性生体システムでは、典型的な信号伝達モードとして同心円やらせん状の信号波が生じる。同心円波の形成はペースメーカーの存在で容易に説明可能であるが、らせん状信号波を自発的に作り出す仕組みはよくわかっていない。らせん波の形成機構を理解するため、その発生過程で必ずらせん波を生じる社会性アメーバ集団を対象に、化学信号波の形成過程をcm視野かつ細胞粒度で大規模に観察した。その結果、 1) 0.1%程度のごく少数個の細胞が信号起点(リーダー)として機能すること、2) その信号波はフォロワーによる局所増幅で空間ヘテロに伝播すること、3) 空間構造化された興奮性(structured excitability)が形成されることが明らかになった。4) さらに、観察された信号伝達の特徴を取り入れたシミュレーション解析を行い、社会性アメーバのらせん波がリエントリーと呼ばれるメカニズムで形成されていることを見出した。リエントリーとは、1913年にMeinsによって提唱された心室細動のらせん波形成を説明する古典概念だが、社会性アメーバ集団の化学信号波のらせん化に関与するという報告はなかった。また、リエントリーそのものをもたらす仕組みは100年来の謎であったが、本研究により、構造化された興奮性(structured excitability)がリエントリー回路を自己組織化していることが明らかになった。リエントリーとは何かを、その特長と合わせて紹介したい。

  • 橋本 均
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 163
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    Neurons of the mammalian nervous systems are highly diverse in their development, structure and function. In the present study, we aim to investigate the molecular pathophysiology of brain disorders by developing highly scalable and high-speed imaging system (block-FAce Serial microscopy Tomography, FAST) and developing animal disease models and iPS cell-derived neurons established from patients. For this aim, we are particularly interested in identifying "brain singularity biology (e.g., cellular and circuit mechanisms)" through unbiased and hypothesis-free approaches using whole-brain activation mapping coupled with machine learning. In this symposium, we will introduce our recent progress and discuss the directions of future research that would contribute to a better understanding of the brain systems as well as brain disorders.

  • 佐原 成彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 164
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    認知症患者の増大が大きな社会問題となっている中、認知症予防を目指して疾患の早期診断や鑑別診断技術の開発が進められている。近年、PETやMRIなど脳画像診断技術の進展にともない認知症の診断技術が飛躍的に向上しつつある。その中でも、アルツハイマー病の重症度判定やその他の神経変性疾患との鑑別診断を目的として、タウPETトレーサーの開発が進められている。タウ蛋白質は加齢とともに機能的変化を起こし、最終的にはタンパク質凝集体を形成し、神経細胞死を誘導することが知られている。また、アルツハイマー病を含めた多くの神経変性疾患の病理学的な指標であることから、診断バイオマーカーの最有力候補となっている。量研機構では世界に先駆けて認知症の鑑別診断を可能とするタウPETトレーサーを開発した。このトレーサーはモデルマウスを用いた病態メカニズム解析にも有用である。タウ蛋白質は神経細胞の機能を維持するために重要な役割を果たしている。一方で、タウPETトレーサーは病的な機能を獲得したタウ蛋白質を検出する。病的なタウ蛋白質へ移る変異点を同定することが究極の早期診断と言える。我々は病態モデルマウスを用いて、より早期の病態変化を検出しうる生体イメージングバイオマーカーの開発を目指している。本発表では認知症早期診断を目指した我々の取り組みを中心に紹介する。

  • 小野 弓絵
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 165
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    ヒト対ヒトの社会的なコミュニケーションは,情報の送信者と受信者が交互に役割を交代しながら,伝達される言語的情報と表情や声のトーンなどの非言語的情報とが周囲の環境の文脈に沿って一定の目的のために処理される,極めて高次な脳機能の発現である。本発表では,脳波・fNIRSを用いたハイパースキャニング技術を用いて,日常的空間に近い実験環境において行われた言語・非言語コミュニケーション中の脳活動ネットワークの研究成果について報告する。非言語コミュニケーションの実験では,対面する実在のパートナーまたは写真のパートナーとのアイコンタクトを行い,実在するパートナーとのアイコンタクト時に特異的な前頭前野背外側部をハブとする脳活動ネットワークを検出した。言語コミュニケーションの実験では双方向性の有無を変化させた会話課題を行い,双方向性が求められる対話時にのみ,会話の受信者の運動性・感覚性言語野間に双方向性の因果的結合が発生することを明らかにした。コミュニケーションの成立に関わる脳活動ネットワークの解明により,コミュニケーションの質の可視化や,自閉症者のコミュニケーション訓練システムの開発など,様々な医工学的応用が期待できる。

  • 池田 尊司
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 166
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    親子間相互作用の役割は様々な観点より研究が進められてきたが,これらは行動観察が主体であった.近年では複数名の脳の電気的活動や血流変化を計測するハイパースキャニング研究が,親子関係の神経基盤を解明しうるのではないかという期待が高まっている.著者らのグループは,同一シールド室内に設置された幼児用MEGと成人用MEGを同期させることで,MEGによるハイパースキャニングシステムを構築した.時間・空間解像度に優れるMEGによってリアルタイム脳機能計測を行い,視聴覚を通じた二者間の同調やターンテイキングの神経基盤を探ることを可能とした.本シンポジウムでは,ハイパースキャニングMEGシステムを用いた親子の研究について紹介する.

  • 柳生 一自, 渡辺 隼人, 高野 一義, 下條 暁司, 白石 秀明, 横澤 宏一, 齊藤 卓弥
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 167
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    【目的】コミュニケーションは言語、非言語的手段により生じる相手との相互作用である。コミュニケーションでは明示的に人の存在を意識する前に、非意識的に相手の存在を表象化する前段階があると考えられるが、その脳活動は不明である。二台の脳磁計(MEG)を光ファイバーにて接続し、擬似的に対面した2名の脳活動を同時計測可能とするDual MEGシステムを構築し「相手を非意識レベルで表象する脳活動」を検討した。【方法】対象は友人同士の健常成人男性ペア。計12ペアでデータ利用可能な22名を解析した。被験者は疑似的対面を座位で行い、相手の顔のリアルタイムの映像(R)、録画された映像(S)を20秒間×各40回の計80回見た。各試行直後に被験者は映像がRかSを判断した。シータ帯域に注目しHilbert変換を行った。-0.5から0秒をベースライン、3.0から17.0秒までを解析区間として標準脳62部位の事象関連同期・脱同期を算出した。相手の存在に気付いていない(Sと判断)試行において、部位×ビデオ条件で分散分析を行った。【結果】部位の主効果(p=0.0080)とビデオの主効果(p=0.0037)を認めた。特に右下前頭部を中心にSでの過同期、Rでの脱同期を認めた。【考察】相手を非意識レベルで表象化する活動が右下前頭部に認め、非意識下から他者存在の気づきに関わる活動を生じたと考えられる。

  • 小池 耕彦
    2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 168
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/17
    ジャーナル フリー

    社会神経科学の研究分野は,心の理論と呼ばれる他者の心を類推する能力や社会行動の創発能力がどのような神経基盤に基づいているかを,実験心理学的な手法と脳機能イメジング技術を組み合わせ,あるイベントに相関した個人の脳活動として検討してきた.しかし社会能力の基盤となるコミュニケーションは個人のみではなしえない.自分と同様に情報を処理する他個体が存在し,情報を相互に交換できて初めて,コミュニケーションは成立する.これを考えると,コミュニケーションの神経基盤を解明するには,実際に他者と情報を相互交換している最中の脳活動を検討するべきだという立場の研究が現れた.この考え方の延長線上に,コミュニケーション中の二者の脳活動を同時に記録し,二者間脳活動相関などを指標としてコミュニケーションの神経基盤を明らかにすることを目指す,ハイパースキャニング(Hyperscanning)研究がある.著者らは,二台の機能的磁気共鳴現象画像法(fMRI)装置をオーディオ・ビデオ系で接続することで,コミュニケーション中の脳活動を二者からfMRIで記録する研究をおこなっている.本発表では,著者らがおこなったハイパースキャニング研究について概観することで,どのような仮説に基づいた研究が可能かを伝えたい.

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