生体医工学
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Dual MEGを用いたコミュニケーション脳科学の可能性
柳生 一自渡辺 隼人高野 一義下條 暁司白石 秀明横澤 宏一齊藤 卓弥
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 167

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抄録

【目的】コミュニケーションは言語、非言語的手段により生じる相手との相互作用である。コミュニケーションでは明示的に人の存在を意識する前に、非意識的に相手の存在を表象化する前段階があると考えられるが、その脳活動は不明である。二台の脳磁計(MEG)を光ファイバーにて接続し、擬似的に対面した2名の脳活動を同時計測可能とするDual MEGシステムを構築し「相手を非意識レベルで表象する脳活動」を検討した。【方法】対象は友人同士の健常成人男性ペア。計12ペアでデータ利用可能な22名を解析した。被験者は疑似的対面を座位で行い、相手の顔のリアルタイムの映像(R)、録画された映像(S)を20秒間×各40回の計80回見た。各試行直後に被験者は映像がRかSを判断した。シータ帯域に注目しHilbert変換を行った。-0.5から0秒をベースライン、3.0から17.0秒までを解析区間として標準脳62部位の事象関連同期・脱同期を算出した。相手の存在に気付いていない(Sと判断)試行において、部位×ビデオ条件で分散分析を行った。【結果】部位の主効果(p=0.0080)とビデオの主効果(p=0.0037)を認めた。特に右下前頭部を中心にSでの過同期、Rでの脱同期を認めた。【考察】相手を非意識レベルで表象化する活動が右下前頭部に認め、非意識下から他者存在の気づきに関わる活動を生じたと考えられる。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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