2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 203
大阪大学医学部附属病院では、三井住友銀行との医療情報銀行の実証研究において、禁忌アレルギー情報、処方情報、血液検査結果、妊婦健診情報、ペースメーカ情報、腹膜透析情報患者問診情報などの診療情報を、患者自らが契約するPersonal Health Record(PHR)に返却している。また、Society 5.0実現化研究として、心不全患者見守り、生誕1000日に守り、虚弱高齢者見守り研究をテーマに、患者ライフログデータのPersonal Life Record(PLR)基盤への蓄積、病状悪化の検知、健康問題への気づきとアドバイスの提示や行動変容への誘導を試みている。PHR基盤とPLR基盤は統合されることとなり、患者を起点とした、患者と医療者間、医療、福祉の現場間での情報流通が可能となる。PHR-PLR基盤が整備されることで医療機関では、生活習慣病患者に対する運動処方と生活指導など、ライフログデータを活用した診療が期待される。将来的には、患者は病院で検査受診をするのみで、オンライン診療での結果説明と、PHRへの結果返却が可能となる。また、定期受診はオンライン診療が基本となり、ライフログデータで病状悪化を検知したときのみ医療機関への受診することが想定される。