生体医工学
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医療分野におけるAI研究の現状と課題
下川 大輝植田 琢也
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 241

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抄録

現在、機械学習・人工知能(AI)の医療分野への応用が急速に進んでいる。とりわけ医用画像診断領域は深層学習のひとつである畳み込みニューラルネットワーク(CNN)との親和性が高く、画像認識や高画質化などへの積極的な導入が行われている。その一方で、高度なテクノロジーの技術面に囚われてしまうあまり、医療へ応用する本質を見失い研究の出口を見誤ってしまうというケースも散見されつつある。今後AIの臨床応用を考える際には、医療者・患者のニーズを解決するような研究デザインの設定がまずは重要ではないだろうか。そのためには、誰の、どんな課題を、どのように解決するのかという「デザイン思考」の考え方が有用だと考えられる。臨床学的視点を理解し、医療においてどのようなニーズが必要かを吟味したうえで、AIという圧倒的な技術が適合する領域を見つけていくことが重要となってくる。本講による、医療課題を正しくキュレーションし、AI解決まで正しくデザインされた研究の紹介が、今後の臨床課題を鮮やかに解決できるAI開発への道しるべとして一助となれば幸いである。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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