生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
遊園地アトラクションのVRを活用した高齢者の生体反応評価
吉田 豊金子 格湯田 恵美
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 244

詳細
抄録

本研究では,遊園地アトラクションのVRを活用した高齢者の鼓膜温度,心拍変動,およびをPVT(Psychomotor Vigilance Task)により手足の反応時間を評価した。被験者は8名(男4名,女4名,75±7歳),視力は右0.6±0.3,左0.4±0.2である。VR活用前に手足のPVTをそれぞれ5分行い,安静5分を挟みアトラクションを3分30秒実施した。その後,安静5分,主観評価1分(SSQ),再度手足のPVTテストを行った。アトラクションはジェットコースター,回転ブランコ,回転カートでランダムに1回ずつ行う。実験中の姿勢は座位で,VRは無音とした。鼓膜温度時系列と拍動間隔時系列から30秒ごとに平均鼓膜温度と心拍変動指標を算出した。PVTの結果,回転ブランコ後の方が手の反応時間が有意に早くなった(P=0.023)。また,回転カート後の方が足の反応時間が有意に早くなった(P=0.034)。SSQの結果,ジェットコースター,回転ブランコ,回転カートの順で気持ち悪さに傾向が出た(P=0.084)。鼓膜温度と心拍変動ともに,3群間のアトラクションに対して有意差は認められなかった。鼓膜温度の時間変化は有意差が認められた(P=0.008)。ジェットコースターは鼓膜温度が激しく変化し,回転ブランコは徐々に鼓膜温度の上昇が観察された。回転カートは大きな変化は観察されなかった。

著者関連情報
© 2021 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top