糖尿病薬物治療は進化を続け、経口薬では8系統、注射薬では2系統の製剤が開発されている。注射薬は、インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬に分けられ、インスリン治療は1型糖尿病では必須である。インスリンは100年前の1921年に発見され、すぐにウシの膵臓から抽出されたインスリンをヒトに試すことが始まった。多くの過程を経て、1983年には遺伝子工学によるヒトインスリン製剤が発売された。さらに、生理的インスリン分泌に近づけるよう、インスリンアナログ製剤が開発され、1996年から使用されるようになった。現在では、追加インスリンとして超速効型インスリン製剤が5種類、基礎インスリンとして5種類が使用可能であり、とくに後者で1日1回の注射で24時間作用する製剤は、持効型溶解インスリンと呼ばれている。一方、食事を摂ると主に小腸からインクレチンと呼ばれる消化管ホルモンが分泌される。インクレチンはGIPとGLP-1の2つがあり、主に血糖値依存的にインスリン分泌を促進する。2型糖尿病音治療では2005年からGLP-1受容体作動薬が使用され、2012年には週1回製剤が承認された。現在では、3種類の週1回型製剤が使用でき、一部は経口薬にもなっている。さらに、持効型溶解インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬製剤の配合注も登場し、2種類が上市されている。本セッションでは、それぞれの注射薬の特徴をまとめ、対象となる患者像や治療方法について紹介する。