生体医工学
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機能性食品摂取時の心拍変動性に対する経験的モード分解の適用
吉野 朱香中村 晴信沖田 善光
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 283

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抄録

【目的】γアミノ酪酸(GABA)などの機能性食品による自律神経活動への影響が,心電図から得られる心拍変動性を解析することによって調べられている.心拍変動性の周波数解析には主に高速フーリエ変換(FFT)が用いられている.しかし,FFTはデータに対して線形性と定常性を前提としている.そこで本研究では,GABA摂取時の心拍変動性に対して,非線形解析に使用される経験的モード分解(EMD)を用いた解析を行い,その結果とFFTによる解析結果を比較した.【方法】健常成人男性を対象に,GABAまたはプラセボ摂取の2回の実験セッションを行った.心電図は,摂取前,摂取7,30,45,60分後に各6分間ずつ計測した.心電図からRR間隔の時系列データを得た後でFFT解析とEMD解析を行い,自律神経活動の指標として,低周波数帯域(LF:0.04~0.15 Hz),高周波数帯域(HF:0.15~0.4 Hz)の指標およびLH/HF比を算出した.【結果】EMD解析の結果,プラセボ摂取と比べてGABA摂取では45分後でLF/HF比が小さくなる傾向が見られたが,一方,FFT解析では差が見られなかった.【結語】EMD解析は,FFT解析と比べて機能性食品摂取による自律神経活動の変化をより詳細に捉えられる可能性が示唆された.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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