生体医工学
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光電容積脈波を利用した認証に対するなりすまし攻撃への対策検討
日夏 俊鈴木 大輔石塚 裕己池田 聖大城 理
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 287

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抄録

顔認証や指紋認証をはじめとする生体認証手法は,PCやスマートフォンなどの端末にも搭載されており,幅広く普及している.しかし,各手法における脆弱性を利用した攻撃例が報告されている.特に,偽造した生体情報を提示するなりすまし攻撃により,各手法を突破できる可能性が示されている.一方で,血流を光学計測して得られる光電容積脈波(PPG: Photoplethysmogram)を利用した認証手法(PPG認証)が研究されている.PPGは他の生体情報と比較すると計測部位や姿勢などの制約が少ないことや,PPG計測機能を搭載したスマートウォッチが普及していることから,PPG認証も今後普及する可能性がある.したがって,PPG認証に関しても事前に脆弱性を調査して,起こり得る攻撃を予測するとともに,同攻撃への対策を検討することが求められる.対策を備えたPPG認証を実現するため,我々は現在までPPG認証の脆弱性を調査し,様々な部位で計測可能なPPGの利点に着目した攻撃を提案した.同攻撃は,PPG認証に使われる本来の計測部位とは別の部位において,対象者に気づかれないように不正計測したPPGを利用して認証を突破する.我々は被験者実験を行い,既存のPPG認証が同攻撃により突破される可能性を示した.本発表では,同攻撃への対策として,計測部位特有の情報を利用する手法を提案し,被験者実験により同対策の有効性を検証した結果を報告する.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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