生体医工学
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CT画像上のテクスチャ解析によるESWL治療可能な尿路結石の自動認識
中前 有香子根本 充貴木村 裕一永岡 隆山田 誉大出口 龍良山下 真平柑本 康夫原 勲
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 309

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抄録

【目的】結石治療術の中で人体への侵襲が最も低い体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の治療結果を予測することは,臨床的に有意義である.本研究では,CT画像テクスチャ特徴量解析によるESWL治療結果予測法を提案する.【手法】本研究では,尿路結石を持つ症例171例の術前CT画像を用いる。うちESWL治療が成功したstone free (SF) 症例は97例である. 提案するSF症例分類法は,半自動抽出した結石領域内から測定される複数のCT画像テクスチャ特徴量の分析に基づいてSFか否かを識別するものである.今回用いる画像の特徴量セットは,結石の体積,結石領域内CT値の統計量6種,結石領域中心へのCT値勾配集中性を示す特徴量12種である.勾配集中性特徴量は,結石中心方向と結石領域内CT値勾配との重み付き偏角確率ヒストグラム各ビンの高さである.ビン幅は15度であり,ヒストグラム作成における重みは結石中心方向のCT値勾配強度とする.SF識別には放射状基底関数カーネルを適用したサポートベクターマシンを用いる. 【結果】5-fold 交差検証によりSF識別精度を評価したところ,識別精度は平均で56.8%であった. またROC曲線の下面積は0.612となった.この結果から提案法の有用性が確認された.【結論】今後の課題は,多様な特徴量の追加によって性能を向上させることである.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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