2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 371
呼吸器系疾患の診断には呼吸数や呼吸運動の計測が重要である。また、呼吸運動の計測はストレス負荷などの自律神経系機能評価においても重要とされている。現在の呼吸計測方法は、サーミスタ法、インダクタンス法、電気的インピーダンス法などがある。しかし、サーミスタ法やインダクタンス法は、センサ装着性が煩雑であり、被検者の負担が大きい。また電気的インピーダンスは、体動の影響を受けやすいなどの問題がある。昨年度までの研究より、前額面における胸郭の実変位の違いから呼吸を計測できる可能性が示唆された。そこで本研究では、6軸センサを用いて衣服の動きと体表面の動きを同時比較し、衣服の上でも呼吸を計測できるのかを検討した。その結果、フィットした肌着で得られた波形は、体表面での計測波形と類似した。さらに、ワイシャツで得られた波形も呼吸数を測定することが可能であった。また、歩行時においても歩行運動の波形に重畳するかたちで呼吸運動にともなう変化成分が含まれていることが確認できた。したがって、衣服の上に6 軸センサを装着することで呼吸計測可能なことが示唆された。