2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 603-605
ディサービスやショートスティ等の介護現場では,施設利用者のQOL(Quality of Life)向上を目的として,各利用者の状況に応じた生活プログラムを実施している.家庭と密に連絡を取り状況の共有を図っている.効果を高めるためには,利用者ごとにQOL項目を精査し,それに基づいて介護施設と家庭とが有機的に連携して取り組み,お互いの役割を見極めて効果的な生活プログラムを準備・実施する必要がある.しかしながら,介護現場は日常的に多忙であり,直面する業務のため,利用者それぞれの家庭の役割にも考慮した生活プログラムの開発に十分な時間が割けない現状である.そこで,本研究では,まずQOL項目について,ICF(国際生活機能分類)の分類から「活動」と「参加」の領域を重視した項目を配置した.「活動」においては個人レベルと生活レベルの観点,「参加」においては社会レベルと人生レベルの観点より項目だてと目標設定を行い,全国老人福祉施設協議会会員355 施設へのアンケート調査をもとに精査して決定した.そして,決定したQOL項目を用いて,要介護者のQOL向上のための生活プログラムを自動生成して実施結果をデータベース化するコンピュータシステムを開発した.各施設における導入や利便性を高めるために,本システムは普段使用しているブラウザ上から利用できるものとして開発した.本稿では,開発したシステムの詳細とその利用について論じる.