2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 759-760
" 超音波を用いた治療方法として、骨折の治りを早める低出力パルス超音波療法(LIPUS)があり、超音波照射が骨芽細胞の遺伝子に影響を与えていることが確認されている。このように、超音波照射によって細胞の活性を向上させることができれば、細胞分裂を活性化させられるため、近年着目されているCAR-T細胞療法などの体外培養を必要とする治療法への応用が考えられる。一方我々の研究室では、超音波照射の細胞への影響を微小気泡存在下で検討していたが、超音波照射条件に対する影響の調査は不十分であった。 そこで本研究では、マウス由来のT細胞であるCD8-OVA1.3細胞を対象に、超音波照射条件によって生じる傷害の程度を解析することを目的とする。細胞と液体培地の懸濁液を注入したウェルプレートを水温37℃とした脱気水の水面に設置し、水槽底部に設置したトランスデューサによって超音波照射を行った。照射条件は周波数2,3,5 MHzで音圧、照射時間、Duty比をパラメータとした。照射後に懸濁液に生細胞数を反映する蛍光試薬を注入し、懸濁液の吸光度から細胞生存率を算出した。 一連の実験の結果、音圧400 kPa-ppの連続波(Duty比100%)の場合、周波数3 MHzで生存率が最も低くなった。一方、同条件からDuty比のみを20 %に下げると生存率は100 %に近づくため、傷害性には様々な要因が起因していると考えられる。"