2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 767-769
超伝導量子干渉素子(SQUID)に代わる脳磁図(MEG)のセンサとして近年、光ポンピング磁気センサ(OPM)が注目されている。従来のSQUIDを用いた全頭型MEGシステムでは、頭部が固定された状態での計測が行われるが、被験者に不快感や疲労を与え、また頭部の大きさや形状の影響を強く受けることが問題となっている。そこで、センサを頭皮に接触可能で、かつセンサアレイをフレキシブルに設定可能といったOPMの利点を活かし、被験者に与える不快感を低減できるようにセンサを平面に配置した場合でのMEG計測の有用性に関して検討を行った。シミュレーションにより40mm×40mmの平面に配置された一次微分型グラジオメータ構造を持つOPMモジュール面が被験者の後頭部に接するような配置を仮定し、まずシールドルーム内において視覚刺激により一次視覚野のニューロンから生じる誘発応答をセンサ数を変更しながら計算した。次に、各センサ数に対し、得られた計算結果に基づき、一般化最小二乗法を用いて、信号源の再構成が行えるかの解析を行った。従来のSQUID型MEGより少ない計測点でのOPM型MEG計測においても、視覚刺激に対する誘発応答を示す信号源活動の再構成を高い精度で行うことができた。今回は、シールドルーム内で信号源の位置や向きは既知とした状態での推定となったが、今後はシールドルーム外での計測に対する推定や、信号源の位置や向きに対する推定も行い、実用性を高めたい。