生体医工学
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運動誘導/継続のためのボクシンググローブ型体感装置の開発
近藤 友里絵岡田 志麻王 天一牧川 方昭
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 168_2

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抄録

本研究の背景として,新型コロナウイルス感染症が感染拡大し運動不足である人が増加した.これに対し,運動動作を評価し家庭で気軽に楽しく体を動かすことができるシステムが少ない.そのため本研究では,ボクシンググローブ内に加速度センサを設置し,パンチの威力を判定,動作の種類や威力に応じた音・振動・光の演出によってパンチに華やかさを加える体感グローブを開発した.これより運動にアミューズメント性を加え,楽しみながら運動を継続し健康増進を図ることができるか検証した.運動誘導の評価指標として,①加速度センサからパンチの威力判定を行い計測するそれぞれの強さにおいてのパンチ回数,②生体計測装置から計測した心電図の変動,③運動後に行う日本語版PANASを使用したアンケートによる主観評価の3点に着目した.また,競技用のボクシンググローブと体感グローブの2種を使用した運動を比較し,対象者は健常男性4名(23.3±1.5歳)とした.結果として本研究の条件下では,体感グローブにより加速度の大きい強いパンチおよび総パンチ回数が増加した.また運動前と後を比較すると心拍数の増加が大きく,気分の高揚とポジティブな感情の増大が示された.これは,音・振動・光の演出が情動系の報酬回路に影響を与えたことが示唆される.今後の展望として,情動系における報酬には慣れが生じるため判定可能なパンチの種類を増やすことでより継続的な使用ができる可能性がある.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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