2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 173_1
本研究は,身体負担適正化支援デバイス開発のための基礎的研究として,脈波に基づく二重積(Double Product:以下DP)の評価法を開発することを目的とした.被験者は,心疾患既往のない20歳から74歳までの男女41名であった.運動負荷は,自転車エルゴメータを用いた多段階運動負荷試験とした.脈波は,Photo Plethysmographyにて1,000 Hzで得た脈波を二次微分し加速度脈波として評価した.脈波の解析は,数値解析ソフト(MATLAB)を用いた.心拍数,収縮期血圧,DPの標準検査法は,心電図・血圧負荷システム(Tango 社製)とし,二誘導心電図を導出し,上腕カフによる血圧計測を行った.脈波に基づく収縮期血圧指標として試行値の日内変動は, 221.6±378.5から40303±71319 mV(16.6±26.4%から16.5±28.2%)であった.同運動負荷時は,座位安静に比して,50 wattsが99.4%,100 wattsが289.5%,150 wattsが387.9%であった. 運動時の脈波に基づく収縮期血圧指標は,標準的方法で測定した収縮期血圧との間に有意な相関関係を認めた(r = 0.928,p<001).同様に,心拍数とDPの相関性も有意であった(心拍数:r = 0.999,p < 0.001,DP: r = 0.959,p < 0.001). 本研究の結果は,脈波PPGセンサから推定した脈拍数と血圧指標の積がDPBPの推定法として有用である可能性を示唆する.脈波PPGセンサによる収縮期血指標は,一定の日内・日差変動を含むものの,それらは,運動負荷時に伴う変動に陵駕される範囲であった.