2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 172_2
近年、健康起因による交通事故件数が増加傾向にある。その原因は様々な疾患が挙げられるが、直接的な原因としては心肺停止もしくは血圧の急激な変動による意識障害を起こすことである。このような事故を減らすため、運転者の呼吸・血圧を連続的かつ長期的に計測する技術が求められている。そこで我々は、結合容量電極を用いた非接触呼吸・血圧計測を提案している。結合容量電極の計測精度は対象との距離によって大きく変動することを先行研究により分かっている。そのため、運転中の計測を想定し座席に組み込むことを考慮すると、背もたれによりかかった状態であれば、おおよその心臓電極間距離は一定の範囲内に収まると考えられるが、電極範囲内における心臓の位置は運転手の体形によって変わることが予想され、計測精度に影響が出る可能性がある。そのため本研究では、計測位置による計測精度への影響を検討した。実際には、結合容量電極を椅子の裏側に固定する位置を、基準位置に対して上下左右に最大±5 cmずらした(電極の大きさ:一辺15 cmの正方形)際のSN比の変動を基に安定して計測できる範囲を確認した。その結果、計測精度にほとんど影響がないことが分かったため報告する。