2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 197_1
炎症反応の評価としてマクロファージのM1型(炎症促進型)とM2型(炎症抑制型)への分極 評価が行われており,PCR法や免疫染色等が用いられている. M0(未分極)とM1型とM2 型では細胞形状が異なることが報告されているが,細胞の顕微鏡画像を用いたマクロファージの分極評価には至っていない.本研究では,細胞画像をデータセットとした機械学習による分極評価法の開発を目指した.J774A.1細胞を分極誘導し,位相差顕微鏡で撮影した.まず,画像を1画像1細胞となるよう150 pixel の正方型に手動トリミングを行った.3種(M0/M1/M2),2種(M0/M1,M0/M2,M1/M2)の組み合わせで各データセットを作製してAIに学習させたところ,学習精度は50~85 %だった.学習精度向上のため,採用する画像の条件付けをして新たにデータセットを作製した.細胞分裂の影響を除くため真円度0.8未満,面積1500 pixel 以上の細胞を選別したところ,学習精度は 75~100 % に向上した.学習精度はM1/M2の組み合わせでは高かったが,M0を含む場合では全て低かった.次に自動トリミング法の検討を行った.細胞重心を基準にしたところ,画像に複数の細胞が映り込むため学習精度が安定しなかった.細胞輪郭でトリミングしたところ,手動と同程度の学習精度であった.以上より,細胞分裂期の細胞の除去,及び細胞輪郭での自動トリミング法でデータセットを作製することにより,高精度でマクロファージの分極の識別ができることが示唆された.