日本地方財政学会研究叢書
Online ISSN : 2436-7125
研究論文
市町村合併が都市のコンパクト化に与える影響
―標準距離を用いたパネル分析―
沓澤 隆司竹本 亨赤井 伸郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 27 巻 p. 87-114

詳細
抄録

 都市の中心部に人口を集中させる「都市のコンパクト化」は市町村の行政コストを抑制し,財政の健全化に寄与することなどが期待されている.本稿では,1999年度から2009年度までの「平成の大合併」と呼ばれている市町村合併が,都市のコンパクト化にどのような影響を与えているかについて,都市のコンパクト化の指標である「標準距離」を使ってパネル分析を行った.この結果,①市町村合併が「都市のコンパクト化」を進めること,②特に,人口や財政力で旧市町村間の較差が大きい「較差型」の合併が「都市のコンパクト化」を進める傾向が強いこと,③合併が行われた年から年度が経過するにつれてよりコンパクト化が進行することが示された.これらの分析結果は,市町村合併が単に人口規模の確保となるだけでなく,都市のコンパクト化を促進し,その結果として財政の健全化に寄与する可能性を示唆している.

著者関連情報
© 2020 日本地方財政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top