生体医工学
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生体指紋として胸椎形状を用いた個人識別法の開発
佐藤 充近藤 世範岡本 昌士高橋 直也
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 211_2

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抄録

自然災害や事件・事故の発生により、遺体が発見された場合には個人の識別を行う。この時、生体指紋としてDNAや歯科所見を利用するが、遺体の腐敗や欠損が理由となり識別困難となる場合が存在する。また、今後発生が予測される南海トラフ巨大地震では甚大な被害が予想されるため、損傷の可能性が低い部位を用いた個人識別手法の確立は急務である。そこで、本研究では胸椎の形状を生体指紋として用いた個人識別法を開発し、本手法を用いることによる個人識別精度を調査した。本手法では死後画像の胸椎の高さ、幅、奥行きにおける各最短径を三次元座標に変換し、対照となる生前画像についても同様に変換する。三次元座標中の二点間の距離、すなわちユークリッド距離を算出する。第1胸椎から第12胸椎までを算出し、これらの合計値が最小となったペアが同一人物であると見なされる。用意したCT画像は生前画像559症例と生前及び死後の画像が存在する82症例である。合計641症例の生前画像中から82症例の画像照合によって本手法の個人識別精度を評価した。結果として、10個以上の椎体のユークリッド距離の合計を基に個人識別した場合の精度は100%となった。4個以上の椎体を使用した場合の精度は97%以上となった。本手法を用いることで高い精度で個人識別が可能である。また、少ない椎体数でも個人識別候補を絞り込める可能性がある。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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