生体医工学
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分岐血管を有する自己血管内シャントモデルの試作と分岐血管が血管抵抗指数に及ぼす影響
佐藤 敏夫新江 義正佐々木 一真中根 紀章山内 忍奥 知子本橋 由香
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 230_1

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抄録

【目的】超音波診断装置を用いた透析患者のバスキュラーアクセス(VA)機能と形態評価は、自己血管内シャント(AVF)に対する狭窄病変検出能が高く、定量的な評価が可能といわれている。しかし、血管抵抗指数RIと上腕動脈血流量FVの測定部位である上腕動脈から狭窄部位に至るまでのルートに分岐血管が存在する場合、分岐血管によってRIやFVが変化し、病変検出能力を低下させる可能性がある。そこで、狭窄部手前に分岐血管を模擬したAVFモデルを作製し、分岐血管の有無がRIとFVの測定値に与える影響について検証した。【方法】Y型チューブコネクタに狭窄率を段階的に変化させたアクリル製狭窄パーツを留置した模擬動静脈吻合部に、流入動脈と流出静脈としてタフシロンゲル製チューブを接続したAVFモデルを作製した。また、上腕動脈部と狭窄病変の間に分岐血管を模擬したチューブを設けることで分岐血管を模擬した。上腕動脈部をウォーターバッグで挟み、この上からリニアプローブを当ててRIとFVを測定した。モデル内には、市販のマイクロバブルシャワーヘッドで作製した微小気泡を混合した水道水を拍動流として循環した。【結論】分岐血管がない場合では、径狭窄率が高度になるにつれてRIは上昇し、FVは減少した。その一方で、分岐血管がある場合では、分岐血管ない場合と比較してRIやFVの測定値に変化がみられ、評価精度が低下する恐れがあることが確認できた。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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