2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 239_2
動脈血酸素飽和度(SpO2)は,身体の異常を検知する重要な指標である.SpO2計測には,生体を透過した光を利用した接触式のパルスオキシメータが実用化されている.接触式の問題点として,長時間計測による患者への不快感を起こす可能性がある.本研究では,非接触式RGBカメラからの容積脈波(imaging-Photoplethysmography,iPPG) 信号を抽出し,非接触でSpO2計測の可能性を検討する.抽出されたRGB3チャンネル信号の異なる光の波長における酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光スペクトルの違いを利用して,SpO2を推定する.容積脈波信号は,動脈血の脈動成分(AC成分)と非脈動成分(DC 成分)で構成されており,これらの比より算出されるRを用いた回帰式よりSpO2推定を行う.AC成分の算出において,信号包絡線による脈動振幅を用いた方法と標準偏差による信号のばらつきを用いた方法の2つの手法を比較し,非接触式計測において,SpO2の低下によるRの増加を定性的に確認でき,非接触でのSpO2計測の可能性を示した.