生体医工学
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在宅補助人工心臓治療普及に向けた現状と今後の課題
西中 知博
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 75_1

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抄録

補助人工心臓治療が適応される重症心不全患者は、体外設置型補助人工心臓の選択肢しかなかった時代には院内生活が必須であった。植込み型補助人工心臓の普及により、補助人工心臓装着患者の在宅療養、社会復帰が可能となり、その症例数は増加傾向にある。同時にその在宅療養期間は、今後更なる長期化が予想される。植込み型補助人工心臓装着患者では、重症心不全患者の在宅療養に伴う一般的管理に加えて、補助人工心臓に関する管理が必要となる。補助人工心臓関連機器の管理、および補助人工心臓ドライブライン体壁貫通部管理は代表的な重要課題である。また、連続流式補助人工心臓の使用に伴う動脈脈圧低下および関連する各種病態、ならびに大動脈閉鎖不全症、消化管出血等の出血性合併症、および脳血管障害を含む各種合併症に関連する管理も重要である。これらの管理の向上を達成させることは補助人工心臓装着患者の臨床成績、生活の質の向上、および患者の社会復帰の促進に重要であり、そのために在宅医療の果たすべき役割は極めて重大である。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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