生体医工学
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血液透析におけるシャント血管の血管抵抗指数と再循環率の関係
梅井 克行泉 樹里梅田 百合子岩田 まり中西 一秀
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 82_1

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抄録

【はじめに】血液透析の治療効率はバスキュラーアクセスであるシャントの状態により大きく影響を受ける。シャントの血流状態が悪ければ脱血不良や再循環が生じ効率が低下する。今回、血流量以外のパラメータとして血管抵抗指数(Resistance Index : RI)に着目し、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)解析でRIが再循環率に与える影響を検証した。【方法】3D血管モデルを作成し、CFD解析ソフトであるOpenFOAMでシミュレーションを行った。シャント血流量を500ml/min、脱血速度は200ml/minとし実際の流速を模擬した血流を流入させた。設定したRIは0.94、0.80、0.60、0.50、0.0(定常流)で、計算は非圧縮性非定常流用のソルバーを使用し、再循環率は可視化用プログラムのParaViewで見積った。【結果】再循環率はRI0.94、0.80、0.60、0.50、0.0の順にそれぞれ28.1%、11.6%、0.44%、0.29%、0.0%であった。また、流入する血流の流速が30cm/s以下になると返血から脱血へ逆流する血流が顕著に観測された。【考察】RIが高ければ、血流波形は急峻なピークを呈し、最低速度が小さくなる。最低血流速度が脱血速度を下回る時間が長いほど返血からの逆流が増加し、再循環率が高くなると考えられた。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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