2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 88_1
近年,自家再生組織の培養技術向上により,再生医療の実現が急速に進んでいる.培養組織における組織力学特性は移植後の生着性に影響を与えると考えられるため,培養工程中の非侵襲 in situ 検出法の確立が求められる.原子間力顕微鏡(AFM)を用いた評価が適用され始めている.これは接触法による表面計測であり,組織内部の断層可視化計測は不可能である.更に,培養工程の最適化には,コンタミネーションを回避しつつ経時的かつ完全非接触・非侵襲に組織力学特性の定量評価が求められる.本研究では,再生組織力学特性のマイクロ断層評価法の確立を目的に,ドップラーOCT(OCDV)に非接触荷重負荷デバイスとして超音波トランスデューサを導入したUA-OCDVシステムの構築を行った.本実験では,サンプルとしてHDF細胞をコラーゲンゲルで包埋し,3次元培養したヒト培養真皮に適用した.UA-OCDVにより検出したヤング率は従来手法にて計測できたヤング率とのオーダーの一致が確認できた.更に,培養日数の異なる複数のサンプルに対する適用実験では,培養日数によるヤング率の増加が確認できた.これは,生育に伴うコラーゲン線維の増加によるものであると考えられることから,再生組織力学特性の検出妥当性が確認され,経時的に非侵襲断層評価可能であることが示唆された.