生体医工学
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iWakkaを用いた把握力調整能力と認知機能の関連
一寸木 佑戸嶋 和也西谷 萌田丸 司森田 良文
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2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 293-294

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抄録

【目的】我々の研究グループは把握力調整能力評価トレーニングデバイス(以下,iWakka)を開発した.iWakkaを用いることで,手指の巧緻動作における把握力調整能力(Adjustability for Grasping Force: AGF)を定量的に評価できる.本研究の目的は,iWakkaの巧緻動作におけるAGFと認知機能との関連性について調査した.【方法】AGFと認知機能評価の相関についてスピアマンの順位相関係数により調査した.対象者は,60歳以上の高齢者10名とした.その内には認知機能の低下傾向を認める者も含まれている. iWakkaは視覚追従課題を提供する.視覚追従課題とは,把握力の目標線とiWakkaを操作することで得られる把握力の実測値との平均絶対誤差として定量化する.認知機能評価としてはiWakkaによる測定の前にHDS-RとMMSEで評価した.なお,本研究は名古屋工業大学と偕行会リハビリテーション病院の倫理審査の承認を得て実施した.【結果】AGFとHDS-Rの間に相関が認められ(r=-0.70,p*<0.05),またMMSEとの間にも相関が認められた(r=-0.67,p*<0.05).【考察】HDS-RとMMSEは総合的な認知機能を評価する検査であることから,AGFが認知症スクリーニングのための特徴量として活用できる可能性が示唆された.また,1回90秒の視覚追従課題であることから,認知機能を短時間で評価できる可能性も期待できる.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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