生体医工学
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高周波患者漏れ電流測定のための胸部-背部間の人体等価抵抗の解析-周波数400 kHzの成人男性の場合-
柴 建次
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2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 300-302

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抄録

"体内に埋め込む補助人工心臓などへの電力伝送の方法として,経皮電力伝送(Transcutaneous Enegy Transmission System; TETS)がある.皮膚の上に置いた送電コイルと,体内に埋め込んだ受電コイルの電磁誘導を用いて体内の補助人工心臓に電力を送る.しかしながら,患者が接地された導電性の板の上に仰向けに寝ている場合,送電コイルを貼り付けた胸部から,大地に接触している背部に,高周波の患者漏れ電流が流れる可能性がある.この患者漏れ電流の測定を行う際は,人体を抵抗素子で模擬するがこの値が明らかとなっていない.本研究では患者が接地された導電性の板に寝ている場合を想定し,胸部―背部間の人体模擬抵抗を求めた.方法として,男性成人のボクセル人体モデルの胸部と背中に,それぞれ円盤形状および板形状の導電プレートを貼り付け,胸部と背中間のインピーダンスを求めた.計算には,有限積分法を用いた.周波数はTETSの伝送周波数に相当する400 kHzとした.人体モデルは25個の臓器からなり,各臓器には400kHzの導電率と比誘電率を入力した.その結果,人体のインピーダンスは,22Ωであることが確認できた.患者漏れ電流の測定の際には,20Ω程度の抵抗素子を用いることで,人体を簡易的に模擬できることが確認できた."

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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