生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
フェライト板を用いた経皮電力伝送システム-体内外フェライト板とコイルの間隔の短縮及び体外フェライト板の拡大-
喜多 優輝柴 建次
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 325-327

詳細
抄録

 現在,重症心不全患者に使用される補助人工心臓(VAD: Ventricular Assist Device)に対して,ワイヤレスで電力を供給する経皮電力伝送システム(TETS: Transcutaneous Energy Transmission System)が研究されている.しかし,TETSの実用化のための課題として放射磁界が大きいことがある.放射磁界は周囲の電子機器に悪影響を及ぼすため,国際規格であるCISPRの制限値以下に抑制する必要がある.本研究では,体内外に配置した厳選した2枚のフェライト板を用いてTETSから発生する放射磁界を抑制することを試みた.本研究では,体内外のフェライト板とコイルの間隔を0.5 mmとし,体外のフェライト板のサイズを縦167.4 mm,横172.8 mmとしたモデルにおいてフェライト板なしに比べ最大8.65 dBμA/m の放射磁界を抑制することができた.しかし,本研究で得られた放射磁界の結果はどれもCISPR11クラスBグループ2の制限値である32.3 dBμA/mを上回っていた.今後はさらなる放射磁界抑制の方法として,フェライトを混入した布状のシートの導入や,逆位相のTETSを追加して放射磁界を打ち消す技術との組み合わせについても検討していく.

著者関連情報
© 2022 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top