生体医工学
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視線解析技術を応用した周辺視野に提示された指標への反応時間の計測
多々良 俊哉半田 知也
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2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 340-342

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抄録

【緒言】周辺視野へ提示された視標への反応時間を調べる方法の1つに,眼と手の協応運動の計測がある。この方法はパネル上に提示された視標を素早く手で押すことで被検者の反応時間を計測している。そのため,結果に差があった際に何の要素に原因があるか分析することができない点がデメリットである。我々は視線解析の技術を応用することで,視標提示から視線の移動までの時間を計測することを可能としたので報告する。【方法】対象は屈折異常以外に眼疾患を有さない19~21歳の大学生13名とした。測定には本研究のために開発したオリジナル機器 (nac Image Technology, Tokyo, Japan) を使用した。本機器では33 cm先の平面上に視標提示が可能であり,同時に被検者の視線が計測可能である。本研究では視標を36点提示し,それぞれの測定点に対する反応時間を計測した。測定した反応時間は,先行研究に従い6つのクラスターに分類し (上下および右上,左上,右下,左下) 一元配置分散分析を行った。【結果】各視標への反応時間 (平均値±標準偏差) は0.24±0.05 secであった。分類分けした6つのクラスターでの反応時間は右上が0.23±0.05,上が0.26±0.08,左上が0.25±0.05,左下が0.24±0.04,下が0.26±0.14,右下が0.26±0.12 secであった (P=0.933)。【結論】視線解析を応用した機器を使用することで,視標提示から視線移動までの時間を計測することが可能であった。分類した視野のクラスター間で反応時間に差はなかった。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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