2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 106_2
医療的ケア児とは,医学の進歩を背景として,NICU等に長期入院した後,引き続き人工呼吸器等を使用し,たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な児童のことである.重症心身障害児に多く見られるが,肢体不自由や知的障害を伴わない場合もある.医療的ケアの種類も様々で,児の成長発達,病態変化等によっても変化し,医療的ケアで使用される医療機器も多岐にわたるため,家庭でケアを行う家族が様々な医療機器の扱いを修得する必要がある.医療を専門としない家族が様々な医療機器を扱う必要のある状況下で,自宅でのケア時や通園・通学に伴う移動時に,医療機器に関するトラブルが発生しており,医療的ケア児の支援において,医療機器の運用管理は大きな課題となっている.一方,演者らは高齢者の地域包括ケアの推進による医療機器の地域分散と少子高齢化による人手不足を背景とし,医療機器を運用管理するための課題の抽出と,課題解決のための要素技術研究を行ってきた.本演題では,演者らがこれまでに行ってきたメンテナビリティ・セキュリティ・セーフティを考慮した医療機器の運用管理の要素技術研究を紹介するとともに,これまで認識できていなかった医療的ケア児が使用する医療機器の運用管理という視点から,これまでの取り組みと共通する課題・新たに認識された課題を整理し,今後取り組むべき課題を議論するための話題を提供する.